<プロ野球ドラフト会議>◇27日

 最速157キロ右腕の東海大・菅野智之投手(4年=東海大相模)は巨人と日本ハムから1位指名を受け、抽選の結果、日本ハムが交渉権を獲得した。

 まさかの抽選。巨人原辰徳監督(53)はテーブルに座ったまま。予定とは違って監督の代役として清武GMが壇上に上がった。右手でひいた封書を開けると、同GMは首をかしげた。外れた。受け入れ難い現実に、巨人テーブルの面々はぼうぜん自失となった。わき上がる歓声で外れを悟った原監督は、微動だにせず、うつむいたまま。壇上の清武GMを振り返ることもなかった。

 12球団の1位指名が終わると、各球団の監督らが会見するのが慣例だ。ただ、「菅野一本釣り」を確信していたため、2位以降の指名を再考する必要に迫られた。20分の休憩時間、残りわずかになって、原監督はやっと会見に現れた。ショックと混乱が入り交じった表情で語った。

 原監督

 監督という立場と、伯父という立場、2つの顔がありますから。ジャイアンツの監督としても両方言えることは、非常に残念だということ。しっかりと指名ができていれば、もっと言葉多く発したい部分ではありますが、今は非常に難しい立場というところで、理解していただきたい。しかし、伯父としてね、彼は私に相談はしてくるでしょうけど、今後も力になりたいと思います。以上です。

 待ちに待った晴れの日になるはずだった。前日のスカウト会議でも「100%一本釣り」が結論だった。これまで、監督として「菅野」と「ともゆき」の固有名詞を、公の場で口にするのを控えてきた。やっと、思う存分語り尽くせるはずだった。それが、まさかの競合。日本ハムとソフトバンク。最後まで2球団を警戒していたが、完全に読みを誤った。

 くじを引かなかった理由を、原監督は「くじを引くという状況にはならないことを信じてました。ジャイアンツとしての総意。突然だったということは、ありますけど」と言った。その発言にも、競合は想定外だったことが分かる。会場を離れる際には「明日からまた頑張ります」と、気丈に話した。巨人は、明日29日からのクライマックスシリーズに、大きな影を抱えながら臨むことになった。【金子航】