大変や!

 “虎の恋人”を巡り、史上最大級の争奪戦が勃発することが21日、確実となった。花巻東(岩手)大谷翔平投手(3年)がメジャー挑戦を公表。大阪桐蔭・藤浪晋太郎(3年)に人気が集中し、ドラフト史上最多タイとなる8球団(野茂英雄、小池秀郎)が競合する可能性が浮上。1位指名を決定している阪神は近年クジ運に恵まれず、不安要素が膨らんだ。

 地元のスター獲得に、暗雲が垂れ込めてきた。大谷のメジャー挑戦が公になり、25日のドラフト会議は急展開を見せることになる。160キロ右腕の指名を見送る球団が現れ、他の候補に流れるのは確実だ。阪神が1位指名を決めている大阪桐蔭・藤浪に人気が集中する可能性が浮上した。最大で8球団の競合が予想される。これはドラフト史上最多の争奪戦だ。

 猛虎にとっては、悪いニュースだ。過去の歴史を見れば、ドラフト1位の抽選で12連敗中。数々の逸材を逃してきた。世代交代が急務のチームは、地元出身で絶対的エースになる素材として、早々と藤浪の1位指名を決め、公表した。獲得できれば、チーム再建の象徴とも言える存在になれる。競合が増えれば増えるほど「当選確率」も下がる。クジ運の悪い猛虎には、不安要素になる。

 とはいえ、今更、ジタバタするわけにはいかない。和田監督は競合球団が増える可能性について問われると、力強く言った。「4つでも6つでも、引くときは引く。心配すんな!」

 ドラフト直前に必勝祈願に出向くことも否定しなかった。どちらの手で引くのか、という問いには「その時のひらめきがある」と感性重視を強調。未来のエース獲得に決意をにじませた。

 中村GMは他球団の動向を気にした。「非常に大きな影響をもたらすんじゃないか。1位で藤浪君に集中することが予想される。増えることは確実。4から6球団になるケースもある。確率が低くなったのは事実。うちは真っ向勝負でいくしかない。全然、揺るがない」。現時点で藤浪1位を公表しているのは、オリックス、ヤクルトの3球団。和田監督とGMの言葉から阪神は最大6球団までを想定している模様だ。それが8球団となれば、想像を超える。どうする、阪神?

 すべては、指揮官の「運」に託すことになる。【田口真一郎】