日本ハムからドラフト1位指名された花巻東・大谷翔平投手(18)が3日、日本ハム入りを今週中に正式表明することになった。この日、岩手・奥州市内のホテルで、栗山英樹監督(51)と2度目の直接交渉。レンジャーズ・ダルビッシュを引き継ぐ背番号11の譲渡と新人最高条件を提示された。大谷は「今週中には球団に伝えたいと思います」と球団を通じて声明を発表。メジャー志向から一転し、来季から日本球界へ進む覚悟を固めた。

 ほんのかすかにあった葛藤が、消えた。大谷は約40分間のスピード交渉を終え、澄んだ瞳で現れた。交渉先のホテル玄関で、栗山監督から見送られた。「楽しみな返事を待ってます」と声を掛けられ、右手を左肩に添えられた。純粋で、実直な18歳は、思わず顔をほころばせた。取材対応は控えたが、球団広報を通じてコメントを発表。入団決意の強い意志がにじみ出ていた。

 大谷

 自分の疑問点を解消していただき感謝しております。周囲に迷惑がかからぬよう、今週中には球団に伝えたいと思います。

 完全に、胸のつかえがとれた。交渉前の時点で、わだかまりが2点あった。1点目は、メジャー表明から翻意することで中傷、批判の的にされそうな点。これに対し球団は、メジャー挑戦をドラフト前に表明しながらも強行指名に踏み切った球団側に責任があり、大谷には非はないと説明した。そのため入団後は、栗山監督を含めた球団が矢面に立つと訴えた。

 もう1点の疑念は「エース兼4番」での育成計画。前代未聞の提案だけに、大谷は「初めに打者からいくと打者で終わってしまうのでは」(徹さん)と、投手としての行く末に一抹の不安があったという。そこで球団は昨季までのダルビッシュの背番号11を譲渡することを提案。投手としても評価していることを形で示した。栗山監督も「11というより、投手として評価していることが、うれしかったみたい」と、その瞬間の大谷の状況を明かした。

 固めていた決意を公にするための準備は完了した。新人最高となる契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1500万円の条件提示も受け、機は熟した。徹さんは「入団前向き?

 そうですね。監督と話し合ってすっきりした部分はあると思う。今日できっちりしたと、私は思う」と慎重に言葉を選んだが、正式表明へ踏ん切りがついたことを示唆した。一時はメジャーを目指しながらも進路を変え、大谷が日本ハム入りを明かす時は、もう目前だ。【高山通史】

 ◆新人の最高条件

 94年に契約金の上限が規定され、現在の契約金上限は1億円(プラス出来高5000万円)、年俸は1500万円。高卒で契約金、年俸とも上限だった選手は今年の藤浪まで8人おり、日本ハムは04年ダルビッシュ有、07年中田翔の2人。98年松坂(西武)は年俸が当時上限の1300万円。