巨人が東京ガスの石川歩投手(25)をドラフト1位候補のひとりに考えていることが27日、分かった。24日に都内の球団事務所でスカウト会議を行い、上位候補には密着して、その後の動向を調査している段階だが、中でも石川の評価が以前よりもアップ。JR東日本の吉田らと並ぶほど、高くなっている。

 石川は185センチの長身から最速150キロの速球を投げ込むだけでなく、スライダーとシンカーを操る即戦力候補。楽天田中や広島前田健と同じ88年生まれの黄金世代でもある。東京ガス出身は、巨人の投手陣のリーダーを務めている内海の後輩にも当たり、チームに溶け込む意味でも期待ができる。

 昨年、渡辺恒雄球団会長が高く評価したことで、巨人の今季のドラフトは桐光学園の松井を中心に動くものと思われていた。しかし、即戦力という面では、石川や吉田、九州共立大の大瀬良、国学院大の杉浦の方が上。人気や将来性ならば松井だが、編成としては頭を悩ますところ。原監督も「即戦力でいくのか、松井くんでいくのかというところなんでしょうね」と今後のドラフト戦略を予想した。

 今季は有力候補が少なく、抽選で外したくない状況が、ドラフト1位を誰にするか悩ませ、慎重な考えを生んでいる。原監督は「こういう時ほどスカウトの腕の見せどころだよな」とも話した。ドラフト前にはそれほど評価が高くなかった選手の活躍例はあまたある。石川に限らず、金の卵の発掘に期待していた。

 ◆石川歩(いしかわ・あゆむ)1988年(昭63)4月11日、富山県生まれ。滑川高(富山)では甲子園出場経験はなく、中部大で愛知大学リーグ通算15勝10敗。東京ガス3年目の今季は、都市対抗8強入りに貢献した。140キロ台後半の直球に、カーブ、スライダー、シンカーなどの変化球が武器。185センチ、70キロ。右投げ右打ち。独身。