今まであまり目立たなかったけど…、実力は◎。全日本大学野球連盟と日本高校野球連盟は10日、プロ入り希望選手に提出を義務づけている「プロ野球志望届」の提出期間を締め切り、計127人(大学56人、高校71人)が提出した。「東都2部の星」東農大・陽川(ようかわ)尚将内野手(4年=金光大阪)は、4年間で105安打を積み上げたスラッガーだ。

 大記録は、ひっそりと達成した。神宮からおよそ10メートル離れた神宮第2で行われた9月18日の日大戦。第4打席で陽川が放った遊撃内野安打が、2部リーグ通算100安打になった。「目標にしていた数字なので、達成できて良かったです」と言った。100安打は1部リーグでも過去22人しかいない一流打者の証し。1年秋から交代なしのフルイニング出場を続け、結果を出し続けて、到達した。

 球界が待望する右のスラッガー。今季は大学時代に東都2部だったソフトバンク長谷川(専大)が198安打をマークし、一躍大ブレーク。1部、2部のレベル差がない「戦国東都」では、2部からでも十分活躍できる可能性を示した。

 陽川は10日時点で、その長谷川が4年間で放った103安打を上回る105安打をマーク。両翼91メートルと狭い神宮第2とはいえ、ヒットゾーンは変わらない。リーグ通算本塁打は23本。これは国学院大時代(2部)の巨人矢野に並び、単純比較はできないが、1部記録を持つロッテ井口(青学大)の24本に迫る勢いだ。

 高校通算36本塁打をマークした金光大阪3年時には、巨人から育成3位指名を受けた。だが、断り、東農大進学。「自分で決めたことなので後悔はしていません。4年間で自分を磨いて、4年後に(ドラフトに)かかるつもりで、強い気持ちでやってきました」と言う。4年前に指名した巨人、阪神など半数以上の球団から調査書が届いている。

 現在は三塁手だが、今春までは遊撃手をこなした。「バッティングと肩を見てほしいです」。3位以上ならプロ、4位以下なら社会人に進む決意を固め、運命の日を待つ。【前田祐輔】