「雄星世代」の星、九州共立大・大瀬良大地投手(4年=長崎日大)は、1位競合が確実な即戦力右腕だ。福岡6大学連盟で通算38勝(8敗)を挙げた大瀬良は、大学生ながら11月に台湾代表と強化試合を行う小久保ジャパンにリストアップされていることも判明。西武菊池、広島今村らと同期生の「91年組」が、プロ入りする日が迫ってきた。

 大学NO・1右腕が、まさかの4位で今秋リーグ戦を終えた。複雑な気持ちを抱えたまま、大瀬良は今月13日、広島出身の野球部員と福岡から広島へ行きリフレッシュ休暇を過ごした。

 マツダスタジアムで、広島対阪神のCS第2戦のパブリックビューイングをやっていると聞き足を運んだ。「1万人くらい観客がいて応援がすごかった。大舞台を感じました。(広島の)スクワット応援はしませんでしたけど」。初回から観戦し、高校時代に自らが浴びた歓声とは違う甲子園の熱気、ファンを一喜一憂させるパワーに、あらためてプロでの活躍を心に誓った。

 長崎日大3年夏。長崎県大会準々決勝で、同年センバツで優勝した清峰・今村(現広島)に3-1で投げ勝った。進んだ甲子園では、1回戦で花巻東・菊池(現西武)と対戦し5-8と力負け。高校卒業時にはプロから声が掛かったが、「自分は甲子園に1回出ただけのポッと出。体を大きくして、4年後にドラフト1位でプロに行けるように」と大学に進んだ。

 この4年間で体重は20キロ増え、日本代表にも選ばれた。今秋リーグ戦で自己最速の153キロをマーク。春に右肩痛で思うように投げられず急落したスカウト陣の評価を再び上げた。3年秋まで29勝1敗だったリーグ戦で、最終学年は9勝7敗と苦しんだ。直球主体からカーブでの緩急を覚えた。「2人(菊池と今村)は特別な存在。この4年間、常に意識してきました」と、悔しさを糧にプロへの準備を進めてきた。

 楽天田中のように相手のバットを押し込む力強い直球が最大の武器。「球速より球質」と、さらに球威を増すために走り込む。調査書は12球団からきており、特にヤクルト、広島などが熱心だ。希望球団はない。今はただ、ドラフト当日を楽しみに待つ。【石橋隆雄】