今月24日に行われるドラフトで、中日の1位候補にJR東日本の吉田一将投手(24=日大)が浮上していることが21日、分かった。191センチの長身から150キロ近い速球と鋭いスライダーを操り、社会人NO・1投手の呼び声も高い本格派右腕。リストアップ済みの桐光学園・松井裕樹投手(3年)の2人を1位の軸とし、落合博満GM(59)を交えた23日のスカウト会議で最終決定する。競合した場合は、谷繁元信兼任監督(42)がクジ引きの大役を務めることが濃厚だ。

 中日のドラ1に社会人NO・1右腕が浮上した。JR東日本の吉田一将投手だ。191センチの長身から最速148キロの真っすぐとスライダーを武器とする本格派。14日まで中国で開催された東アジア競技大会では日本代表のエース格を務め、中国と台湾相手に2試合11回を無失点に抑えるなど、優勝の原動力となった。すでに阪神やオリックスなども1位候補にリストアップ。指名すれば競合必至の情勢だが、大勝負を挑む価値ありとホレ込む素材だ。

 今季、大谷効果や藤浪効果を目の当たりにした球団は、人気も高くて集客アップを見込める桐光学園の松井投手を最有力候補としてきた。だが今季は防御率がリーグ4位の3・81まで落ち込むなど、投手王国が崩壊。右肘を手術したエース吉見も来季開幕絶望。1年目から確実に2ケタ勝てる先発補強の重要性を訴える声も大きくなってきた。

 そこで白羽を立てたのが吉田だった。中田スカウト部長は「あれだけ身長があるのにしっかり低めに投げ分けられる。あの角度は大きな武器だ」と、経験豊富で安定した制球力にぞっこん。24日のドラフト前の最後のゲーム、今日22日のセガサミーとの練習試合(JR東日本柏G)もスカウト陣が密着マークする予定だ。

 現状、竜のドラ1の軸は吉田と松井。他の候補も含め、落合GMや谷繁兼任監督が加わる明日23日のスカウト会議(東京)で決断する。ただし、吉田や松井の場合、他球団との競合は避けられない。仮に指名が重複した場合は、谷繁兼任監督がクジ引きの大役を務めることが濃厚だ。球団首脳は「ひな壇に上がって一番絵になるのは谷繁新監督でしょう」と説明。来季浮沈のカギを握る金の卵の獲得を、青年指揮官の手に委ねる。もちろん誰を指名するのかを最終決定するのは落合GM。運命の時が刻々と近づいている。

 ◆吉田一将(よしだ・かずまさ)1989年(平元)9月24日、奈良県生まれ。青森山田では2、3年夏に甲子園に出場したが、登板機会なし。日大に進み東都2部で通算8勝5敗、1部に昇格した4年秋は3勝6敗。12年春にJR東日本に入社し、都市対抗で2年連続準優勝に貢献。昨秋のアジア選手権(台湾)で日本代表に選出されている。191センチ、90キロ。右投げ左打ち。