やっちゃった!?

 阪神のドラフト1位、横浜商大・岩貞祐太投手(22=必由館)が、指名後初の実戦登板で、思わぬ事態に陥った。神奈川大との練習試合に先発登板すると、立ち上がりに失点。4回を5安打3失点でマウンドを降りたが、試合後にベンチ入りメンバー全員で“五厘刈り”となってしまった。

 ドラフト1位指名後、初の実戦で岩貞を待ち受けていたのは、なんと“断髪式”だった。初回から失点を重ねての敗戦。打線も2安打での0封負け。試合終了後、横浜商大の佐々木正雄監督(65)のカミナリが落ちた。

 「てんでバラバラ。同じリーグのチーム相手に試合をしてもらっているのに。勝たないといけない。全員で五厘(丸刈り)ですよ。みんなで同じ境遇に立たないと」

 相手の神奈川大は、秋季リーグ5位に終わり4年生が引退。その新戦力相手に完敗。31日には神宮大会(11月16日開幕)の出場権を争う関東地区大学野球選手権大会の初戦、上武大戦が迫っている。佐々木監督が怒るのも無理はない。チームの士気を高めるため、なんと、ベンチ入りメンバー全員で“断髪式”。24日のドラフト会見でも丸刈りに近い短髪だった岩貞も、大事な一戦へ、さらに短く…気合の丸刈りだ!

 8回から2イニング無失点に抑えた楽天のドラフト5位西宮悠介投手(22=佐野日大)もナインとともにマネジャー室へ。選手は互いに髪をそり合い、青くなった頭を水道で洗い流し、スッキリした表情だった。

 もともと、岩貞は序盤の失点が悩みの種のようだ。24日のドラフト会議終了後、同校に阪神和田監督が指名あいさつに訪れた。その際、「課題は?」と聞かれ、岩貞は「立ち上がり」と答えていた。まさにその言葉通り。1回、先頭にライト線へ二塁打を打たれると、味方の失策も絡み無死三塁のピンチ。その後、悪い流れを止められず、先制点をあっさり献上。2回に入っても制球が定まらず2失点してしまった。

 もっとも、このまま終わる男ではない。3回から打者を寄せ付けず、2イニングはパーフェクト投球。テンポよく、ストライク先行の本来の切れ味が戻った。2回までに1つもなかった三振は打者6人と対戦し、3つ奪った。その他の3つのアウトも外野にすら飛ばさせなかった。

 大学野球で有終の美を飾るため、即戦力と期待されるサウスポーが、髪形とともに心機一転、気持ちを入れ直す。【宮崎えり子】