プロでは「聖地の申し子」になる!

 阪神のドラフト新入団5選手が7日、甲子園で施設見学と体力測定に臨んだ。ドラフト1位の新日鉄住金鹿島・横山雄哉投手(20)は山形中央で2度出場し、苦杯を喫して以来の甲子園来訪。1位指名を受けるまでに成長した左腕は、高校時代の悔しい思い出を吹き飛ばす決意をみなぎらせた。

 一塁側アルプスから、甲子園を見渡した。苦い思い出がよみがえった。めった打ちをくらったマウンドをじっと見つめる。ドラフト1位横山が、6年越しのリベンジをプロの舞台で果たす。

 「マウンドに立ってる姿は少しは想像できたけど、今の自分の中ではいいイメージではない。こうして阪神の一員になれたことに縁を感じます。また甲子園のマウンドに立てる。リベンジができるようにという思いもある」

 山形中央の2年だった10年に春夏連続で甲子園に出場した。センバツは日大三(東京)に7回0/3で18安打13失点と、手も足も出なかった。リベンジを胸に出場した夏の甲子園も、九州学院(熊本)戦で6回6安打7失点。どちらも初戦で敗退した。心残りの甲子園マウンドがこれからの本拠地。校歌を歌えなかった代わりに、応援歌「六甲おろし」を何度も響かせる。

 もちろん、16歳の自分とは違う。「ドラフト1位」と揺るぎない評価を受けるまでに成長した姿を、存分に披露するつもりだ。高校時代は182センチ、77キロだった細身の体。ウエートトレーニング場にこもり、1人で黙々と強化に励んだ。社会人3年間で85キロにまで大きくした。最速140キロ前半だった球速も、151キロにまで更新。その直球を武器に、11月に台湾で行われた21Uワールドカップでは3試合10イニングで20奪三振をマークした。

 さらに、伸びる余地もある。午前中に行われた球団の体力測定で、課題も見つかった。伊藤トレーニングコーチは「横山は力はあるけど、スタミナが…」と明かした。測定後には1月の入寮までにやるべき練習メニューも教わった。「具体的なトレーニング方法も学ばせていただきました。自分でしっかりトレーニングをして補っていきたい」と肩まわりのトレーニングを中心に、投げる体力を身につける。

 「数多く甲子園のマウンドに立って、勝利に貢献していきたいです」

 すでに2月キャンプの沖縄・宜野座行きを検討されるなど、即戦力の期待を集める。1軍に入れば、これから何度も上がることになる聖地のマウンド。白星を積み上げ、甲子園をいい思い出でいっぱいにする。【宮崎えり子】

 ◆センバツ日大三戦

 21世紀枠で大会初日に登場。1回に2点を先制したが、横山は8回途中まで2本塁打され、18安打13失点と打ち込まれる。「甲子園にのまれた。未熟さを痛感した」。相手エースで4失点完投した山崎福也は明大に進みオリックスにドラフト1位で入団する。

 ◆夏九州学院戦

 春と対照的に49代表の最後に登場。相手の勢いに押され、横山は3回に死球、失策絡みで2失点。6回には大会タイ記録の1イニング3三塁打を浴び4失点した。「全国のレベルの高さを感じた」と目を真っ赤にした。<甲子園初戦敗退からプロで大成した投手>

 ◆摂津正(秋田経法大付=現明桜-JR東日本東北-ソフトバンク)00年春1回戦東洋大姫路戦で4失点完投も敗戦。

 ◆吉見一起(金光大阪-トヨタ自動車-中日)02年春1回戦明徳義塾戦で7失点完投負け。

 ◆大谷翔平(花巻東-日本ハム)12年春1回戦大阪桐蔭戦で藤浪晋太郎(阪神)と投げ合い、8回2/3を9失点し大敗。

 ◆2戦目以降では

 藤川球児(高知商-阪神)は2年だった97年夏の2回戦平安(現龍谷大平安)戦で5失点。金子千尋(長野商-トヨタ自動車-オリックス)は00年春2回戦鳥羽戦の救援で4失点し敗戦投手。前田健太(PL学園-広島)は06年春に3勝も、準決勝の清峰戦で7回途中KOされた。