巨人坂本勇人内野手(20)が26日、東京・大手町の球団事務所で契約更改交渉を行い、年俸3400万円から4600万円アップの8000万円でサインした。高卒野手4年目での年俸8000万円は、イチロー(オリックス)松井秀喜(巨人)と並んで最高額。来季はイチローや松井が4年目で初めて達成した「フルイニング出場、打率3割」の目標を掲げ、プレーでも先輩たちに続くことを誓った。(金額は推定)

 坂本は来季年俸8000万円を手にし、大先輩と肩を並べても意に介さなかった。高卒4年目で野手としては、イチロー(マリナーズ)松井秀喜(ヤンキースFA)と並んで史上最高額にも「あんまり、そういうのは」と苦笑するだけ。「(年俸は)頑張れば上がるものですから。(提示金額に)何も言う気はありませんでした」と1発でサインした。

 大きく成長を遂げた1年だった。シーズン序盤から打率3割を維持。首位打者争いを演じ、5月からは1番打者として強力打線を引っ張った。打率3割6厘、18本塁打、62打点は、いずれも昨季を上回り、02年以来の日本一に大きく貢献。ベストナインにも選ばれた。「自信がつきました。これからの野球人生のプラスになる1年だったと思います」と堂々と言い切った。

 ただ、慢心も満足もしていない。守備範囲の広さゆえでもあるが、今季19失策には「守備範囲を広げながらエラーを減らしていきたい」。さらに、大きな目標を掲げた。「(腰痛で前半戦ラストの)3試合を欠場したことに悔いが残ります。打率3割は続けていかないといけない数字だし、フルイニング出場には価値がある。そこを目指していきたいです」。50年の2リーグ制導入以降、高卒4年以内で「フルイニング出場&打率3割」を達成したのは3人。95年イチロー、96年松井秀、97年松井稼(西武)。全員が、来季の坂本と同じ4年目での快挙だった。

 1つの変化と、1つの継続を決めた。より野球に打ち込むべく、退寮して東京ドームの近くに居を構える。自主トレは今年1月に続き、阿部とグアムで行う意向だ。「(12月中旬の)優勝旅行の後は気持ちを切り替えて、少しずつ体を動かします」と年内始動も宣言。坂本がスーパースターへの階段を駆け上がっていく。【古川真弥】