もう1度、甲子園で大暴れや!

 阪神金本知憲外野手(42)が15日、西宮市内の球団事務所で来季の契約を更改し、FA権を行使せずに残留することを表明した。年俸は3億5000万円プラス出来高(推定)。今季は開幕前に発症した右肩痛の影響で、連続試合フルイニング出場記録がストップ。打撃主要3部門もすべて阪神移籍後では自己ワーストだった。悔しさをはらす来季の144戦スタメン出場を誓った。

 熱い熱い、所信表明だった。もう1度タテジマのユニホームに袖を通し、本拠地甲子園で大暴れする。節目のプロ20年目を迎える金本が復活劇を描き、悔しい思いをさせた阪神ファンに誓った。

 金本

 もう1度、この球団で暴れてみたいというか、やり残したこともまだまだあるような気がして、残留という形となりました。今まで阪神ファンの人にたくさん応援してもらい、また同じファンに応援してもらいたいという思いがあって。やる気もいま、すごい、出てます。

 3度目のFA交渉で答えは出た。じっくり時間をかけて契約にこぎつけた分、完全復活への思いもさらに強固なものだった。

 プロ19年目の今季は試練の連続だった。5年ぶりBクラス転落を受けて契約交渉から難航。自身初の越年交渉の結果、減俸更改で決着した。会見では人を射るような鋭い眼光で今季の覇権奪回を誓った。

 だが3月のオープン戦中に味方選手と交錯し、右肩を負傷。食事時ははしを持てない重症で、4月18日の横浜戦では連続試合フルイニング出場記録が1492試合で途絶えた。「僕にとって選手生命の危機じゃないかというくらいの大けがだった」と振り返った。

 痛み止めや座薬に頼る日々。今季は1度も万全の状態でグラウンドに立った試合がない。残した数字は阪神移籍後ワーストの打率2割4分1厘、16本塁打、45打点。巨人とのCS最終戦では出番がないまま終戦をベンチで見届けた。それでも残留を強く望んだチームに、心から感謝した。

 金本

 こんなケガをしてても、まだ期待して野球をやらせてもらえる。そこを一番、感謝しています。失うものはないし、守るものもない。

 11月上旬には福岡県内の病院に検査入院し、リハビリ、トレーニングを含めた強化メニューを授かった。シーズン後はほぼ無休で、甲子園クラブハウスと鳴尾浜に通い、来季への準備を進めている。目指すゴールは、常にスタメン表に名前を連ねて戦うこと。広島の主戦として暴れていた30代の自分を目標とした。

 金本

 (フルイニング出場は)あまりにも年を取りすぎたので無理かな。できれば144試合、全部スタメンで出られるような状態を目指したい。またカープ時代のように、ギラギラした目でグラウンドで暴れられるように頑張りたい。

 1月の更改時には見られなかった充実感が、金本の表情を覆った。ファンもまた、ギラついた金本の姿が待ち遠しい。【石田泰隆】