【フェニックス(米アリゾナ州)12日(日本時間13日)=四竈衛】前回大会覇者でV候補筆頭の米国が、伏兵メキシコにまさかの惨敗を喫した。

1次ラウンドの成績は、これで1勝1敗となった。投手陣が15安打11失点と炎上。準々決勝進出へ向け、残り2試合で負けられない状況に立たされた。

正真正銘の地元ながら、球場内の雰囲気は完全に「アウェー」だった。4万7534人が詰めかけたスタンドは、メキシコ系移民が多い土地柄もあり、メキシコファンが約7割。選手紹介などの場内アナウンスは、英語だけでなく、スペイン語でも流された。試合前、メキシコ国歌斉唱の際には大合唱が起こり、試合中にはラテン音楽が鳴り響く中でも、スターぞろいの米国がひるむはずはなかった。だが、過去の大会で通算1勝2敗と相性の悪い相手に4回まで7失点と先制パンチを食らっては、流れを引き戻すのは困難だった。

敗因は、痛打された投手陣だけではない。看板の打線が、6回まで3安打1得点。1番ベッツ、5番アロンゾが無安打と要所で分断され、「線」として機能しなかった。それでも、デローサ監督の選手への信頼感は揺らいでいない。「彼らは、まだ春季キャンプで20打席しか立っていない。ユニホームの背中のすごい名前をとても信用している」。本領発揮のタイミングを悠長に待つわけにもいかない一方、1つの黒星で浮足立つはずもない。

実際、初制覇した17年の前回大会も、1次、2次ラウンドではそれぞれ1敗を喫しながら、そこから巻き返して頂点に立った。主将トラウトが初安打を含む3出塁したほか、8回には集中打でようやく打線がつながった。19年首位打者で2安打3打点のアンダーソン(ホワイトソックス)は、落ち着いた口調で言った。「点を取るのが少し遅すぎたが、明日の試合につながるといいね」。1敗した事実は重い。だが、この黒星が「Wake up call(モーニングコール)」になるとすれば、次戦以降、本来の姿を取り戻すに違いない。