【マイアミ(米フロリダ州)19日(日本時間20日)】前回覇者の米国が準決勝でキューバに大勝し、2大会連続で決勝進出を決めた。

初回に1点を先制されたものの、3番ポール・ゴールドシュミット一塁手(35=カージナルス)の2ランで逆転。その後も、9番トレイ・ターナー遊撃手(29=フィリーズ)の2アーチなどで加点して大勝した。2連覇をかけた21日(同22日)の決勝は、日本とメキシコの勝者と連覇をかけて激突する。

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世界最強を示す一撃だった。1点を追う1回1死二塁。ゴールドシュミットが左腕エリアスの内角151キロ直球に両腕を畳み、鋭く振り抜く。コンパクトなスイングとは裏腹に、弾丸ライナーが左翼席に飛び込んだ。キューバに先手を奪われたのは、わずかなひととき。あっという間に野球の母国のペースに持ち込んだ。

昨季ナ・リーグのMVPで野手最年長のゴールドシュミットにとって、今大会への思いは格別だった。初制覇した17年は極度の打撃不振に陥り、準決勝以降はスタメンから外れた。歓喜の優勝の瞬間も、ベンチで見届けた。それだけに、決勝へ導く逆転弾を「自分の人生でも最もお気に入りの本塁打になった。チームに貢献したかった」と上機嫌で振り返った。

前夜の準々決勝ベネズエラ戦で起死回生の逆転満塁弾を放ったターナーが、この日も「最強の9番打者」と化した。米国代表としては06年のケン・グリフィー以来となる1試合2アーチを放つなど、6回まで毎回得点の猛攻をけん引した。5戦4発で本塁打王、2戦連続4打点で吉田と並び10打点の打点王。9番にして4番級の2冠と絶好調だ。

「ここ4~5年は春季キャンプ(オープン戦)で本塁打を打ってなかったのに」と、例年にない早い仕上がりにおどけるばかり。9番で起用するデローサ監督も「彼は3億ドル(総額約405億円の11年契約)の選手だから」とジョーク交じりに持ち上げるほど、チームのムードは明るい。

1次ラウンドでメキシコに敗れたが、決勝ラウンドに照準を合わせてきた通り、準決勝で完勝。「あと1つ、行くだけだよ」。ターナーは、余裕たっぷりに笑った。【四竈衛】

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