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今季初実戦となるSK戦で、ベースカバーに入るダルビッシュ(2010年2月18日=撮影・井上学)
今季初実戦となるSK戦で、ベースカバーに入るダルビッシュ(2010年2月18日=撮影・井上学)

 ダルビッシュ有は、アスリートとして、もう1つ上のステージへ向かおうとしている。プロ入り6年目を迎えた今季。春季キャンプ地の沖縄・名護での調整段階から、すごみを感じさせている。ブルペンでの投球をチェックしている他球団スコアラーからは驚嘆の声しか聞こえない。2月18日の今季初実戦、韓国SKとの練習試合では2回3失点。数字だけの結果を見れば周囲の期待には応えていないが、本人は平然とジョークを飛ばした。「今年のダルビッシュは良くない、と思ってくれていい。自分でも若干、不安になりますけれど」。そう笑い飛ばせるところが、順風満帆さを証明していた。

国際舞台で味わった窮地そして歓喜

 激動の1年間を経て再び躍動、進化を予感させる時が到来した。ちょうど1年前の09年。大きな流れに身を任せざる得ない日々を過ごしていた。昨年3月の第2回ワールド・ベースボール・クラシック。レッドソックス松坂、楽天岩隈とともに「サムライジャパン」の3本柱の1人として世界の舞台に立った。ちょうどその前年の8月、北京五輪では本来の力を発揮することができず、メダルを逃した。敗戦処理のような役回りまでこなした。きっと本人にとっては、野球人生の中でも屈辱的なシーンの1つだっただろう。まったく別物のビッグゲームとはいえ、かける思いはさらに強かったというのは想像に難くない。

WBC決勝で韓国を破り、駆け寄った城島(右)と抱き合うダルビッシュ(2009年3月23日=撮影・菅敏)
WBC決勝で韓国を破り、駆け寄った城島(右)と抱き合うダルビッシュ(2009年3月23日=撮影・菅敏)

 迎えた本番。先発の一翼を担い、準決勝、決勝では守護神を任された。決勝の韓国戦では1点リードの9回に一時は同点とされながら、胴上げ投手に。日本に2度目の歓喜をプレゼントした立役者の1人になった。「窮地に立たされたこともあったけど、最後に勝って苦労とか全部報われた」。自分自身の中で最高のケジメをつけ、臨んだ開幕戦こそ楽天岩隈に投げ負けたが、その後は7連勝。世界中にみせつけた勢いそのままに、順調に進むかに見えたシーズンに突如、暗雲が漂った。後半戦から2度の離脱。登板過多などが1つの理由とされる、コンディション不良だった。プロ入団時から快調にステップアップしたキャリアの中で、初めてぶつかった大きな壁だったといえる。

一世一代の投球、投手生命賭け白星

 公式戦、国際大会のフル稼働による勤続疲労の影響は、当初の見込み以上だった。5回でプロ入りワーストの7四球、2失点で降板した9月20日オリックス戦を最後に、昨季は公式戦から姿を消した。優勝争いの佳境、クライマックスシリーズでも登板できず、自分の体と向き合う日々。「日本シリーズも、無理だろうと思っていた」と一時はあきらめかけていたが、電撃復帰した。11月1日の巨人との第2戦で、奇跡的にカムバックした。満身創痍(そうい)の体をおし、気持ちだけでマウンドに向かった。負傷部分に負担をかけないようにする、立ち投げのようなフォーム。無理をすれば投手生命を縮めかねない危険を承知の上で、白星をつかんで見せたのだ。「一世一代の投球ができた。復帰は楽しかったけれど、その前に仕事があるんで。終わってみて、楽しかったかなという感じ」。波瀾(はらん)万丈の1年をハッピーエンドで乗り切ったことが、今季以降の進化へのきっかけになる予感がした。 【日本ハム担当・高山通史】



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