【スコッツデール(米アリゾナ州)13日(日本時間14日)=高山通史、四竈衛、佐藤直子通信員】侍ジャパンが大会3連覇へ向け「ダブル・リードオフマン制」を敷くことになった。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表が米国で初練習を行い、山本浩二監督(66)が1番打者の起用方針を明かした。17日(同18日)からの決勝トーナメント(T)では、相手先発投手の左右によって、鳥谷敬内野手(31)と長野久義外野手(28)を使い分ける。14日のジャイアンツ、15日のカブスとの練習試合でテストする。

 時差ボケも感じさせず、大勝負を制すための戦略を描いた。侍ジャパンが、ジ軍キャンプ地のスコッツデールで再始動。山本監督はサングラス越しに、最大で残り2試合を戦い抜く選手たちの動きを見つめ、打順構想の一端を披露した。報道陣の質問をかわすことが多いが、「(相手先発の)右、左投手によって打線は変えます」と明かした。

 渡米前に得た収穫が、攻撃スタイルの幅を広げる土台になった。12日のオランダ戦(東京ドーム)。既に決勝T進出を決めていたこともあり、不振だった長野を3試合ぶりに1番で起用した。代表結成当初から理想としていた切り込み隊長が、2安打5打点と本来の姿を取り戻した。山本監督は「それはもう全然違う。乗ってきているし、いい状態で来ている」と目を細め、左腕の場合は1番で起用する考えを示した。

 米国と決勝Tの初戦で対戦する場合、先発予想の本命は昨季21勝左腕のゴンザレス(ナショナルズ)だ。ほか有力候補も左腕のホランド(レンジャーズ)で、右打者に重点を置いた上位打線の構築が必須。長野は「任されたところをやるだけ」と闘志を燃やした。

 先発が右投手の場合は、2次Rから信頼を集めている鳥谷を投入する。8日台湾戦で1点を追う9回2死一塁からミラクルな二盗に成功。同点劇をサポートする働きを見せ、1番としての適性を発揮した。決勝Tで対戦する可能性があるドミニカ共和国は、右腕ボルケス(パドレス)の先発が有力で、抑えロドニー(レイズ)を含め、投手登録14人中9人が右投手だ。鳥谷の安定感と長野の復調でこそ練ることができる「ダブル1番」戦略となる。

 早速テストを実施する。右腕ペティットが先発のジャイアンツ戦は鳥谷、左腕ウッドが先発の15日カブス戦は長野を1番で起用する方針。山本監督は「今までやっていること」と強調したが、調整期間中にWBC連覇まで逆算したデモンストレーションを行う。

 初練習後には、首脳陣と選手が3度目の決起集会を行った。鳥谷、長野をフル活用するオプションをしっかりと確認できれば、自ずと道は開けてくる。

 ◆日本打線の対左右投手別傾向

 今大会の日本打線は左投手を苦手としている。チーム打率2割9分4厘は出場16カ国で4位、本塁打8はキューバ(11)に次いで2位だが、左投手に限ると打率は2割ちょうど(35打数7安打)で、本塁打どころか長打さえ1本も出ていない。ただし、井端は6打数3安打、内川は3打数2安打と左投手に対しても好調をキープしている。