【ピオリア(米アリゾナ州)1月31日(日本時間2月1日)=本間翼、木下大輔】日本ハム大谷翔平投手(22)が、3月に行われるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で投手としての出場を断念した。同7日初戦(対キューバ、東京ドーム)の先発が内定していたが、昨秋に痛めた右足首の状態が思わしくなく、ブルペン入りのメドも立っていない。この日、栗山英樹監督(55)と本人が決断した。打者での出場の可能性は探る意向で、侍ジャパンの小久保裕紀監督(45)の判断に注目が集まる。

 キャンプイン前日、大谷と栗山監督の間では、ひとつの区切りを迎えていた。最後まで登板を模索したというが、最終的には厳しい現状を認め、登板回避を受け入れた。「投げたい大会だった。残念な気持ちはあります。でも3月7日(初戦のキューバ戦)に100%でいける自信はない。それはいくべきではない。僕も納得して決めました」。

 昨秋の日本シリーズ第4戦で、一塁ベースを駆け抜けた際に右足首をひねったことが発端。1度は痛みが引いたが、11月の侍ジャパン強化試合で再発した。足首の三角骨と骨棘(こっきょく)の問題により、痛みを感じる症状。オフは通院しながら、休息と治療で回復を待った。1月20日にブルペンに入ったが、その後の投球練習は22日の1度のみ。患部をかばったことで両足にも張りが出た。投球再開のメドも立たず、「無理なら無理で、早い段階で決めないと…」と、キャンプイン前日のこの日を期限に定めていた。

 現状では、つま先立ちをするような「底屈」の動きで痛みが出る。「徐々によくなってはいます」と話すが、福島チーフトレーナーは「痛みがひどいなら、オペをすることも考えなければいけないかもしれない。長引くようなら、オフに(原因となる骨棘などを)取っちゃった方がいいかも」と説明するように、軽症と楽観視できるものではない。今日1日からのキャンプも、第1クールは完全別メニュー調整が決まっている。

 野手としての出場の可能性は残しており、「今は少しでもいい方向に進むようにやっていきたい」と前を向いた。さらに「なかなかないチャンスなので出たいと思う大会。しっかり状態を上げること」と、世界を相手に戦う決意がある。大谷を熟知する日本ハムが「投手だけ断念」とした背景には、何とか間に合う見立てに加え、決意をくんでいる可能性が高い。

 栗山監督も「ギリギリでも状態が上がってくれば」と話すが、侍ジャパンのメンバー構成の問題もあり、どこまで回復を待つのかは小久保監督の判断に委ねられる。「どうなるかは自分でもわからない」と大谷。日本はもちろん、全世界のファン、関係者が、行方を見守っている。