日本ハム大谷翔平が、投手としての出場を断念した。日本ハム吉村浩GMによると、現地時間1月29日に日本代表側に伝えていた。栗山監督は「スケジュール的に間に合わない。止めないといけない状況」と説明。だが、侍ジャパン小久保裕紀監督は「詳細はまったく把握していない」と困惑した。絶対的エースの出場に関わる重大事項を、日本代表監督が知らなかったことが事実ならば、異常な事態と言わざるを得ないだろう。

 日本ハム側からの連絡は、NPBを介して小久保監督に伝わっている。NPB・井原敦事務局長は「右足首の状態で、ピッチャーとしては厳しいところはある、というのは聞いていたが、具体的に、どこまでどうかというのは聞いてない。こちらは初報。これからやりとりが始まるという認識だった」と、交渉過程だったと説明。小久保監督に対しては「コンディショニングが大変かもしれない」と伝えていたという。

 1日、投手断念が発表されることを、NPBは認識していなかった。日本ハムから伝えられた情報を、どれだけ正確に受け取っていたか、コミュニケーションが円滑だったかには疑問が残る。小久保監督とともにキャンプ視察したNPBエンタープライズ今村司社長は「どういうニュアンスで誰が誰に伝えたか、状況を把握したい」と言った。野球ファンなら誰もが見たかった、世界を相手にした「投手大谷」。野球界の重大な局面で露呈した認識のズレは、原因究明が不可欠になる。【NPB担当・前田祐輔】