スターダムの林下詩美(21)が、19日の9周年記念日大会(午前11時30分開始、後楽園ホール)でワンダー・オブ・スターダム王者星輝ありさ(24)に挑戦する。デビューした18年は大活躍も昨年は2度の指のけがで、それぞれ2カ月欠場ともどかしい日々を過ごした。団体主要ベルトの初奪取で3年目の再ブレークを狙う。【取材・構成=高場泉穂】

クールにポーズを決める林下(撮影・山崎安昭)
クールにポーズを決める林下(撮影・山崎安昭)

デビュー2年目の19年は林下にとって苦難の1年だった。ビッグダディ三女で柔道で鍛えたパワーを持つビッグ新人として18年は大活躍。勢いを継続していた4月に左手親指の付け根にあたる左母指基節骨を骨折し、2カ月欠場。復帰直後の9月、今度は右手小指を骨折。再び2カ月の欠場に追い込まれた。

2度とも手術で患部に針金を埋め込んだ。汗をかくと菌が発生する可能性があるため、医師からは術後しばらく運動を禁止された。「みんなの練習を見ているか、試合に行ってセコンドにつくだけ。1度目の時はリセットの時期と前向きに捉えられましたが、2度目は地獄でした」。もどかしい日々が続いた。

団体の大きな変化にも焦りを募らせた。スターダムは昨年10月17日、新日本プロレスの親会社株式会社ブシロードの運営下に入った。オーナーであるブシロードの支援により、露出が増え、今年1月4日の新日本東京ドーム大会にも提供試合で進出。他の選手がメディアに露出し、注目を浴びるのを林下は見ているしかなかった。「スターダムが大きくなって、人気が上がっているのを実感できた。その分、自分が中心にいられないことが悔しかったです」。

そんなたまったうっぷんを次のタイトル戦にぶつける。相手は18年に6年半ぶりに現役復帰し、トップスターへ駆け上がった星輝。団体の主要ベルトの1つ、ワンダー・オブ・スターダムを19年5月に初戴冠。キックを武器に8度防衛している絶対女王だが、林下は昨年8月の初シングル戦で勝利している。「星輝は意識がとぶような鋭い蹴りをもっているが、パワーは自分の方が上回っている。何回やっても結果は変わらないはず」と自信をみせる。

昨年12月から本気のダイエットも開始した。欠場の合間に体重は65キロから68キロに増量。66キロまで落としたが、さらに絞るため大好きなお菓子を禁止。さらに白米を抜くなど糖質オフも始めた。「チョコレートが大好きなんですが食べるのをやめて、最低砂糖3つは入れていた紅茶、コーヒーも無糖にして頑張ってます」。目指すのは、ベルト奪取にとどまらず団体のトップ。「20年は私の年にできたら」と言葉に力を込めた。

クールな表情を見せる林下(撮影・山崎安昭)
クールな表情を見せる林下(撮影・山崎安昭)

◆林下詩美(はやしした・うたみ)1998年(平10)9月14日、鹿児島県奄美市生まれ。18年7月にスターダム入団。同8月12日にジャングル叫女とのシングル戦でデビューし、引き分け。同11月にタッグタイトルのゴッデス・オブ・スターダム初戴冠。18年度プロレス大賞新人賞受賞。得意技はアルゼンチン式背骨折り。166センチ、66キロ。