コロナ禍でプロレス興行ができない中、大日本プロレスが“珍グッズ”通信販売に力を注いでいる。

公式通販サイトBJ-SHOPには、ステーキやお吸い物味のポップコーン、DVDと食べものを組み合わせた「BJW stay homeセット」、ロシアンルーレット的にどの選手の顔が出てくるかわからない缶バッジくじなど多種多様な商品が並ぶ。その中でも登坂社長、新土リングアナらフロント、スタッフ陣の缶バッジくじは4月の販売開始早々売り切れ。5月上旬に再入荷されるという。マニアックであればあるほどファンは手が伸びるのか…。

大日本によれば、今年4月前半の通販でのグッズ収入は前年同時期比200%。試合ができず興行収入が得られない中、グッズ売り上げが貴重な支えとなっている。登坂栄児社長(49)は「いつも面白いグッズを開発しようと考えていますが、『社長の考えるグッズはコストパフォーマンスが悪い』とスタッフに注意されます(笑い)。弊社の商品はバリエーションがあるので、こうした状況で2、3度と買ってくださる方も多い。よりお客様に利用していただいているようで、本当にありがたいことです」とファンの支援に感謝する。

選手もグッズ販売に協力的だ。現在スタッフは2つのチームに分かれて通販業務を行うが、今は選手も積極的に作業を手伝っているという。また、選手はSNSでも商品PRに努めている。登坂社長は「スタッフと選手が協力してくれている様子をほほえましく見ています」と、有事下の団結を喜ぶ。

大日本プロレスは新型コロナウイルス感染拡大の影響で2月末に政府が自粛要請を出した後も感染防止に努めた上で、興行を継続していた。だが、4月上旬の緊急事態宣言を受け、興行を中止した。厳しい状況が続くが、登坂社長は生き残る使命を口にする。「旗揚げの時(1995年3月)の直前には阪神大震災があった。その後も、大雨、大火事、東日本大震災…といろんなピンチがありました。それでも、その時々にいろんな人に助けてもらいました。いまピンチを乗り越えないと、過去に応援してくれた方々に申し訳ない。団体を途切れさせてはいけない。強い気持ちで何とか乗り切ろうと思います」。

横浜市のJR鴨居駅近くにある道場での合同練習は中止しているが、選手は3班に分かれ工夫しながら練習を続ける。「いかつい団体ですが、それでも優しさ、強さをみなさんに感じてもらえたら、社会に何か貢献できたらと思っている。興行を再開した時、さらに強く、優しくなった選手たちの姿を見てほしいです」と登坂社長。今年で旗揚げ25周年。したたかに生き残ってきた社長の言葉は心強い。【高場泉穂】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

「BJW stay homeセット」を持つ佐藤孝亮(大日本プロレス提供)
「BJW stay homeセット」を持つ佐藤孝亮(大日本プロレス提供)