新型コロナウイルスの影響は、スポーツ界にも多大な影響を及ぼしている。ただ、立ち止まっているわけにもいかない。

元世界3階級制覇王者・亀田興毅氏(34)の3150ファイトクラブは、9月25日に大阪で計画した初の有料興行を延期した。その際に興毅会長は言った。「会長としては2つ続けて死です」。5月の初興行を無観客で行ったが、約750万円の赤字を抱えた。その経験を踏まえ、今回は延期を選択した。会長として新たな興行の形態を模索し、さまざまな試みをぶつけたいが、その思惑をコロナが阻む現状にいらだちを隠せない。

苦しめるコロナ禍だが、その中で進んでいることもある。元2階級世界制覇王者の弟・大毅(32)が、本格的にトレーナーとして始動した。興毅会長は「あいつはほんま、教えるのがうまい」と太鼓判を押す。その手に託されたのが、元WBA世界ミニマム級王者の宮崎亮(34)だ。不祥事などもあり1度は引退を決めたが、興毅会長の下で約5年ぶりの再起を決めた。その興行が延期となったが、大毅トレーナーと復活への道筋を描いている。

3150ファイトクラブは長男の興毅が会長、次男の大毅がトレーナーで、3男の和毅が現役で世界王者を目指す。一時期世間の注目を浴びた「亀田3兄弟」の新たな形態が、具体的に活動している。「必ず天下をとる。和毅は絶対に世界王者に戻す。ボクシングはおもろい。見といてください」と興毅会長は熱弁をふるう。

大毅トレーナーは現役時代、世間の多くの批判を浴びた。だからこその強みがある。興毅会長は「大毅は人に優しい。人の痛みが分かるねん。だから教え方もうまいんやと思う。なかなかそんな人間、おらんからな」と話す。大毅トレーナーが手がける元世界王者の宮崎。まもなく第2の幕が上がる。

大毅トレーナー本格始動の模様は、YouTube番組「会長。亀田興毅~亀の恩返し~」(YouTubeチャンネル=OROCHI TV)で詳細に伝えている。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)