ボクシングで元世界3階級制覇王者の亀田興毅会長(34)の3150ファイトクラブが23日、和歌山・広川町で初のキャンプをスタートした。12月16日にメルパルクホール大阪で行われる興行に向け、約5年ぶりの復帰戦となる元WBA世界ミニマム級王者の宮崎亮(33)らが参加した。

宮崎は24勝(15KO)3分け2敗の右ボクサーファイター。2階級制覇を狙った16年8月のWBA世界ライトフライ級タイトル戦に敗れ、翌年8月に引退届を出した。現役への思いは失っていなかったが同年9月に道交法違反で逮捕。懲役1年、執行猶予3年の判決を受けた。

執行猶予期間中は、日本ボクシングコミッション(JBC)からライセンスは下りず宮崎はメキシコ、タイ、フィリピンなど海外での現役復帰も模索した。そんな中で手を差し伸べたのが興毅会長だった。最初は子どもの指導など裏方を務め、それでも「もう1回試合がしたい」と直訴。今年5月に執行猶予期間が明け、現役復帰の道が開けた。

12月はフライ級6回戦の予定。5年ものブランクをどう克服するか。興毅会長も厳しい目を向ける。

「来年3、4試合してチャンスがあれば世界戦。うまくいけば来年12月にもあるよ。(12月の)6回戦はそのテスト。リングの上でどれだけ動けるかやから」

宮崎は「絶対に勝ちます」と誓った。

ファイトマネーは150万円、スポンサー料など含め最大で200万円と6回戦では破格だ。興毅会長は「ただの6回戦やない。元世界王者やから」

その心意気に宮崎は奮い立つ。「興毅会長のおかげ。結果を残す」と言った。

世界王者のターゲットはライトフライ級。日本選手ではWBAスーパー王者の京口紘人(ワタナベ)、WBC王者に矢吹正道(緑)がいる。「どちらとも戦える。勝てると思っている」。順調に復帰ロードを歩んでいけば、楽しいプランも現実に見えてくる。

末衣夫人(33)との間に第3子が生まれる。予定日はちょうど試合日の前後という。「絶対に試合を見たい」と訴える夫人を必死に抑えているという宮崎。子どものためにも、5年の空白を埋めてみせる。【実藤健一】

和歌山キャンプで指導する亀田興毅会長(左)と元世界王者の宮崎(撮影・実藤健一)
和歌山キャンプで指導する亀田興毅会長(左)と元世界王者の宮崎(撮影・実藤健一)