11月4日(日本時間5日)に米プロレスWWEが再び18人もの選手の解雇に踏み切った。ロウやスマックダウンに所属していながら契約が解除され、元王者クラスもメンバーに含まれていた。今年に入って経営合理化などを理由に次々とWWEから選手が離れているが、現在はオール・エリート・レスリング(AEW)というWWEのライバル団体が躍動。新たなムーブメントが起こっている。

WWEで活躍ができずに解雇されながらも、移籍先のAEWで脚光を浴びているのがブラジル人女子レスラーのタイ・コンティ(26)だろう。13日(同14日)にはAEWのPPVフル・ギア大会(米ミネアポリス)でAEW女子王者ブリット・ベイカー(30)に挑戦する。4月に当時の同王者志田光に挑戦し、敗れて以来2度目の同王座挑戦の好機だ。7日には自らの公式インスタグラムを更新し「あと6日。(王座を)獲得したい。私のキャリア最大のチャンス。準備はできている」などと投稿した。

16年からWWEと契約を結びながら、20年4月に退団となったコンティは同年8月にAEW移籍後、公式インスタグラムのフォロワー数を伸ばしてきた。現在は53万人を超えている。プロレスラーとしての姿だけでなく、健康美あふれる水着姿を数多く更新。米プロレスファンの注目度も高くなっている。今年に入って英メディアもコンティの人気インスタグラムに反応。「彼女はフォロワーたちを非常に喜ばせている」と紹介したほどだ。

ブラジル・リオデジャネイロ生まれのコンティは柔術と加え、柔道でも黒帯を持ち、16年リオ五輪も目指していた格闘家でもあった。強くてかわいい、ブラジル版のツヨカワ系プロレスラーと言っていい。WWEから解雇されたとしても、新たな団体AEWで大きく輝き、王座奪取を狙う存在にまで成長。「解雇」と言われると背筋が寒くなるような言葉だが、米社会では新たに輝くチャンスになっているのかもしれない。

コンティは、その好例だろう。今年に入ってWWEの大量解雇が続いているのは暗いニュースとして残念に感じるものの、くすぶっていた才能あふれる選手たちが躍動する“逆転劇”がある。今の米プロレス業界が活性化している証明でもあるだろう。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)


◆タイ・コンティ(本名タイナラ・メロ・デ・カルヴァリョ) 1995年6月9日、ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。バスコダガマで体操競技をはじめ、すぐに柔術、柔道に転向。柔道では地域王者、州王者に輝く。16年10月にWWEと契約し、17年4月にプロレスデビュー。同年に女子登竜門トーナメント「メイ・ヤング・クラシック」に出場し初戦敗退。18年レッスルマニア34大会の女子バトルロイヤルに参戦。18年もメイ・ヤング・クラシック参戦も2回戦敗退。20年4月にWWEに解雇され、同年8月にAEWと契約。21年1月にNWA女子王座に挑戦も敗退。同年4月にはAEW女子王座挑戦も敗れた。168センチ、57キロ。

自らの健康美ボディーを公式SNSで次々と公開するAEW女子王座次期挑戦者タイ・コンティ(コンティの公式SNSより)
自らの健康美ボディーを公式SNSで次々と公開するAEW女子王座次期挑戦者タイ・コンティ(コンティの公式SNSより)