年末の楽しみが一気に吹き飛んだ。WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太(35)とIBF同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(39=カザフスタン)、そして大みそかのWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(32=志成)とIBF同級王者ジェルウィン・アンカハス(29=フィリピン)のいずれも世界王者同士の王座統一戦が延期、中止となった。元凶は新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株の感染防止、水際対策で政府が決めた外国人の入国規制にある。

スポーツ界は身を切り、一体となってコロナの感染予防対策を講じた。ワクチン効果もあってか感染者は劇的に減った。我慢をしいられてきたボクシング界もようやく、ビッグマッチを打ち出し、ボクシングファンもワクワクしてきた矢先だった。落胆は大きい。

その現状に素早く対応したのが、3150ファイトクラブの亀田興毅会長(35)だった。16日に大阪で初の有観客での興行を計画。メインにWBC世界ライトフライ級王者・矢吹正道(29=緑)の弟、WBOアジアパシフィック・ライト級5位の力石政法(27=同)のノンタイトル8回戦で順調に進めていたが、対戦相手のフィリピン選手が入国できない状況となった。

興毅会長は残り2週間の状況でファイトマネーを破格の100万円につり上げて、対戦相手を公募。興行として成り立たせた。「ビッグマッチとは違うから、立ち回れる」と謙遜もさすがの瞬発力だった。

亀田興毅が会長になった最大の目的が「興行を変える」。選手の立場になり、ボクシングだけでは食えない現状打破を真っ先に掲げた。たとえ無名の4回戦選手でも、きっちりファイトマネーを出す。その実現へ、ABEMATVとタッグを組み、SNSを駆使した新たなビジネスチャンスを企画した。そのもくろみを打ち砕いたのがコロナだ。

今回のファイトマネー100万円も苦心の産物。「もうお金ない。会長・亀田興毅はコロナにやられっぱなし、ダウン寸前」と言うが、選手最優先で寄り添う姿勢は変えない。「オミクロンしばく」は心からの本音。いずれ、日常は戻るはず。その時に興毅会長のコロナ禍での努力は、必ず報われる。【実藤健一】