元RIZINライトヘビー級王者イリー・プロハースカ(29=チェコ)がアジアでUFC王座に挑戦する。6月12日、シンガポール・インドア・スタジアムで開催されるUFC275大会で同級王者グローバー・テイシェイラ(42=ブラジル)に挑む。RIZIN時代、ヘビー級トーナメント準優勝、ライトヘビー級王座獲得と重量級で活躍し、20年1月にUFCと契約。同団体ではランカーに2連勝し、同級ランキングで2位。日米の格闘技で好成績を収め、ついにUFC王座に王手をかけた。

現王者テイシェイラは21年10月、UFC267大会で当時の王者ヤン・ブラホヴィッチに2回一本勝ち。ランディ・クートゥアの保持する43歳に次ぐ、歴代2位となる42歳での年長王座獲得を成し遂げた。ベテランとは言え、初防衛戦となるだけにプロハースカがUFC3戦目で王座奪取する可能性は十分にある。王座挑戦決定後、プロハースカは「ステップ・バイ・ステップ、一直線」と自らの公式SNSを通じて意気込みを示した。

UFCは14年にシンガポールで大会初開催。17年、18年、19年と継続でイベントを実施し、今回が5回目となる。UFCナンバーシリーズは初めて。PPV(ペイ・パー・ビュー)のイベント開催は東南アジア初でもある。UFCのデイナ・ホワイト社長は「シンガポールで初めて開催するPPVイベントを楽しみにしています。東南アジアの素晴らしいファンのために、最高のカードを用意するつもりです」とコメント。既にプロハースカのライトヘビー級王座挑戦とともに、UFC女子フライ級王者ワレンチナ・シェフチェンコ(34=キルギス)が同級4位タイラ・サントス(28=ブラジル)との7度目の防衛戦も発表されている。

また元UFCミドル級王者ロバート・ウィテカー(オーストラリア)が、タイトル挑戦経験を持つマービン・ヴェットーリ(イタリア)と対戦するなど他3カードも発表済み。近日中に追加カードも随時、決まっていくという。

大会会場となるシンガポール・インドア・スタジアムは、日本人ファイターも多く参戦する格闘技団体ONEチャンピオンシップのホームスタジアムとなる。UFCがコロナ禍ながら3年ぶりにシンガポールで大きなイベントを再開させることがアジア格闘技界にどんな化学反応を起こすかも見ものだろう。

日本では17年大会を最後にUFCイベントが開催されていない。日本人ファイターの減っているのは残念でならないが、RIZINをステップにUFCに殴り込みをかけたプロハースカによるタイトル挑戦は期待感十分。RIZIN、UFCの両団体で王座を獲得する初めてのファイターになるか。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)