新日本プロレスの真夏の祭典「G1クライマックス32」が、16日に北海道・北海きたえーるで開幕した。団体創設50周年を迎えた今年のG1は、史上最多となる28人が出場。半数の14人が外国人レスラーで、そのうち5人が初参戦となった。新日本の大張高己社長(47)に、外国人G1戦士の素顔を聞いた。

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海外勢が熱い。今春のニュージャパンカップ覇者ザック・セイバーJr(35)やIWGP世界ヘビー級王者ジェイ・ホワイト(29)、USヘビー級王者ウィル・オスプレイ(29)ら、おなじみの外国人選手に加え、米国の新日本で活躍してきたジョナ(33)、デビッド・フィンレー(29)らが海を渡った。

中でも、大張社長が「ぜひ生で見てほしい」とイチオシなのが、オカダ・カズチカらと同じAブロックにエントリーしたトム・ローラー(39)だ。米総合格闘技UFCでも活躍した経験を生かし、初代NJPW STRONG無差別級王者を獲得した経験を持つ。満を持しての初参戦となった。

「MMAから上がってきた選手で、独特のプロレススタイルを持っている。力も十分だし、雰囲気もおもしろい」と大張社長。「なんせ、見た感じが野人。あの骨格の太さは見たことがない。普通のマッチョマンとは違う」。だからこそ、間近で見てほしいと呼びかける。初戦は26日、東京・後楽園ホールで、米AEWで活躍するランス・アーチャー(45)と激突する。

そのアーチャーは、3年ぶりにやってきた身長203センチ、体重120キロの怪物。「そうとう大きい。僕は怖くて話ができていないんです。威圧感がすごくて近づけない」。社長ですらも、本人を目の前にすると萎縮してしまうという迫力の持ち主だ。

2年連続5回目の出場、Bブロックに入ったタマ・トンガ(39)は、決意の夏を迎えている。今年3月に長年在籍してきたヒール集団「バレットクラブ(BC)」から離脱し、本隊と合流した。大張社長は、会場の中ですれ違った際に「今まで散々、悪い事をしてごめんね」と謝られたという。「人間が変わったということを言いたかったんでしょうけど、軽いなと。そんな程度で許されるのかと…」と苦笑。「でも、みんな許してくれているんでしょうね。邪道さんもそうだし、本隊と仲良くやっているんでしょう」と、生まれ変わった姿に期待する。

正義の道に進む者がいれば、悪に身を染めた者もいる。2年ぶり5回目の出場となったジュース・ロビンソン(33)は、今年5月に本隊からBCに寝返った。「普段は本当に陽気な人だった」と大張社長。「BCに入る前はアメリカの大会に行くと、ホテルのロビーで酒盛りを始めて、ピザやワインを買ってきて、抜け出せなくなるくらい一緒にお酒を飲んでいましたね」と懐かしんだ。

「何があったんだろうか…」と、大張社長の頭を悩ませているロビンソン。王座剥奪になったにもかかわらずUSヘビーのベルトを持ち歩き、Dブロック公式戦では元IWGP世界ヘビー級王者鷹木を下すなど、猛威を振るっている。

個性豊かなメンバーが勢ぞろいしたG1クライマックス。8月の東京・日本武道館大会では、史上初めてとなるユニット別応援シートも設置される。まだまだ夏は、始まったばかり。リング上の熱い戦いはもちろん、各選手の裏側にあるストーリーにも注目だ。【勝部晃多】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)