ボクシングWBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人(28=ワタナベ)とWBC世界同級王者の寺地拳四朗(30=BMB)が11月1日、さいたまスーパーアリーナで2団体王座統一戦に臨むことが決まった。14日に都内のホテルで発表会見が行われて両者がそろって出席し、静かに火花を散らした。京口は同年齢で親交の深いWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)に以前から寺地との統一戦を勧められていたことを明かした。

井上に寺地戦を直接会った際に報告したという京口は「会った時に話したら『え~(会場に)行こうかな』『頑張ってね』と言ってもらえましたね」と笑みを浮かべた。井上には数年前から「同じ階級で、日本人選手同士なんだから統一戦をやりなよ、とフラットな会話の中で言っていたので。国内で一番盛り上がるカードなのかな」とうなずいた。世界王者同士の会話で、寺地との統一戦という機運を感じてきたことも大きかったようだ。

日本人王者による団体王座統一戦は12年6月のWBC世界ミニマム級王者井岡一翔-WBA世界同級王者八重樫東戦以来、約10年ぶり2度目。10年前は井岡が3度目防衛戦で世界戦4戦目、八重樫は初防衛戦で世界戦3戦目だったが、現在の京口、寺地は経験値が違う。5度目の防衛戦となる京口はIBF世界ミニマム級王者時代を含めて世界戦9戦目となる。一方の寺地は王座陥落前の8度防衛成功を含めて世界戦12度目と世界トップのキャリアが豊富にあり、両者の対決の機が熟したタイミングでもある。

世界ライトフライ級の対抗王者をみてもWBO世界同級王者ジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)は世界戦3試合を経験。同じ11月1日、京口-寺地戦のセミファイナルでWBO世界同級2位岩田翔吉(26=帝拳)との2度目防衛戦が4地合目となる。IBF世界同級王者スベナティ・ノンティンガ(23=南アフリカ)は今年9月4日の王座決定戦で新王者になったばかりで、世界戦経験はこの1試合のみ。世界主要4団体の中でも京口、寺地2人のキャリアが群を抜いている。

同興行の中継も豪華だ。4月の村田諒太-ゲンナジー・ゴロフキン戦、6月の井上尚弥-ノニト・ドネア戦に続き、Amazonプライムビデオでライブ配信されることが発表された。京口は「統一戦に見合った金額、ファイトマネーだった。今までで一番大きな金額でありがたい。(プライムビデオの)第3弾として選んでもらえたこともありがたいですし、期待の表れとも感じている」と歓迎した。

両者の意向、条件、タイミング、舞台すべてがそろったと言える。約7週間後に控える日本人同士の王座統一戦は「世界ライトフライ級祭り」にふさわしいビッグファイトになりそうだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)