元関脇朝赤龍で夏場所前に年寄を襲名した錦島親方(35)が15日、両国国技館内で師匠の高砂親方(元大関朝潮)同席で記者会見し「17年間、支えていただいた方々に心から感謝します」と語った。思い出の相撲は初日から12連勝した04年春場所。ストレート給金と、全勝対決で13日目に大関千代大海に敗れた2番を挙げた。今年初場所、88場所ぶりに幕下陥落。「(関取輩出の)139年間の部屋の歴史を切りたくなかった」という思いで引退も考えたが国籍取得を待った。

 日本相撲協会によれば、外国出身力士で年寄襲名の第1号は元関脇高見山(渡辺大五郎)。以降も大関小錦(塩田八十吉)、横綱曙(曙太郎)、武蔵丸(武蔵丸)らが日本名を本名として在籍も、現行制度では継続可能なため錦島親方は日本名=本名も「バダルチ・ダシニャム」のまま通す初めての親方になる。

 先駆けと言えば「モンゴル→留学経由角界入り」のはしりでもある。00年9月に元横綱朝青龍と来日し、明徳義塾高に相撲留学。日本の生活に順応しての入門で現役では照ノ富士、貴ノ岩、逸ノ城らの道しるべになった。断髪式は来年初場所後を予定。「真面目で実直」(高砂親方)な性格そのままに部屋付きで後進の指導にあたる。【渡辺佳彦】