昨年12月、モンゴル相撲協会は創設から25周年を迎えた。会長を務めるのは、史上初のモンゴル出身力士、元小結旭鷲山のダバー・バトバヤル氏(45)。モンゴルでは英雄的な扱いを受けているという。

モンゴル相撲協会顧問でフリージャーナリストの宮田修氏は「日本とモンゴルの文化関係は相撲抜きには考えられない」と声を大にする。19年初場所時点でモンゴル出身の力士は24人。そのうち幕内力士は横綱白鵬(33=宮城野)、鶴竜(33=井筒)ら6人が在籍している。「彼らが日本で成功を収め、元旭鷲山関や元日馬富士関のように実業家として活躍する。モンゴルのこども達も大きな夢を見ることができる」と宮田氏。そんなモンゴル相撲協会が、相撲に続き日本に発信したい文化として音楽を挙げている。

モンゴル人歌手のオトゴンフー・ソロンゴさん(37)は、1人で2種類の音を発声する「ホーミー」というモンゴル独特の歌唱方法を扱う。「私の歌でモンゴル人の力士を勇気づけたいんです」。実際、ソロンゴさんは12歳だった93年8月、東京で開催された「世界こども音楽祭」にモンゴル代表として出場してグランプリを獲得。NHK「みんなのうた」に出演した経験もある。

97年には当時幕内だった元旭鷲山と応援歌「旭鷲山に捧げる歌」を共同製作。その後、日本人の外交官と結婚し、海外を転々とする時期が続いたが3年前に日本に帰ってきた。それを機に昨年12月、「風の贈りもの」と題するアルバムCDを発売。宮田氏は「相撲を通してモンゴルの音楽も知っていただければ」と話した。

元旭鷲山など6人のモンゴル出身の少年が初土俵を踏んだのは、92年の春場所。平成4年の出来事になる。平成も間もなく終わる中、日本とモンゴルの関係はどのように変化していくのか。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)