9日の台風15号は、相撲界にも大きな影響を及ぼした。取組は30分遅らせて午前9時10分開始。それでも電車のダイヤが乱れた影響で、序ノ口から取組に間に合わない力士が続出した。序ノ口が4人、序二段が10人、三段目が1人。千葉・鎌ケ谷市の朝日山部屋、同松戸市の佐渡ケ嶽部屋など、墨田区の両国国技館から離れた地域の部屋の力士が多かった。計15人、13取組を後に回す特別措置を取り、不戦敗などにはしなかった。

茨城・つくばみらい市の立浪部屋は、序二段1人が遅れただけだった。部屋関係者は「つくばエクスプレスの終点、秋葉原から歩いた力士も何人かいた」と、約2キロを自力で移動していたと明かす。この日は普段見かけない街中にも、力士が出現したようだ。

前泊した部屋もあった。西武線沿線に唯一構える、埼玉・所沢市の二子山部屋は、東京・台東区のホテルに全9人の力士が宿泊した。9人中8人が2日目に取組があったため、全員がシングルルームに宿泊。相撲部屋は関取になるまで個室を与えられないことが多い。久々のプライベート空間を体験し、同部屋の若い衆の1人は「リラックスできたけど、リラックスし過ぎて負けました…」と頭をかいた。取組に遅れた力士は15人中11人が白星。準備万全だから勝てるものでもないようだ。【高田文太】