大相撲史上初の無観客開催となった春場所中「記者席から 緊急連載・厳戒の春」と題し、識者の見解や舞台裏などを15日間掲載する。

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土俵上が静寂に包まれる中、大きなトラブルはなく、無観客の春場所が始まった。ビデオリサーチの調べでは、初日の8日に放送されたNHK総合(午後5時~6時)の平均視聴率は関東地区が15・1%、関西地区が14・5%と、関東地区は昨年春場所初日を上回った。当社ウェブサイトでアンケートを実施(612人回答)し、テレビ観戦の感想や春場所開催についての意見を聞いた。

多かったのが力士を気遣う声だ。取組中に起こる歓声や感嘆のため息もなければ、横綱土俵入りの時の掛け声もない。「観客の声援がなくてみんな戸惑っているのが分かった」(40代男性)。「声援もないし力士も稽古としか思えないのでは」(50代男性)。一方で力士らがぶつかり合う音や、行司や呼出の響き渡る声に感動する声も多かった。それでも「普段は聞こえない音や声が聞こえて斬新な感覚はあったが、やはり観客の反応や声援を含めて『大相撲』だと思う」(60代男性)と違和感を覚えるファンは多かった。

春場所開催の是非については、無観客開催(265票)よりも中止(280票)に票が集まった。「無理する理由はない。中止の方が濃厚接触を避けようというメッセージになる」(50代女性)。「トイレットペーパーの並んでいない棚のように、ガラガラの観客席の画像は不安を煽られる」(50代女性)という率直な声もあった。

力士らは残り13日間の白熱した取組で、そんな不安や違和感を吹き飛ばしていく。【大相撲取材班】

無観客の中、土俵入りする白鵬(撮影・鈴木正人)
無観客の中、土俵入りする白鵬(撮影・鈴木正人)