大相撲7月場所(7月4日初日)が19年以来2年ぶりに名古屋・ドルフィンズアリーナで開催することが1日に決まり、相撲のぼりなどを製作する「吉田旗店」(岐阜市)からも歓迎の声が上がった。

同店は戦前から大相撲ののぼり旗を製作している老舗で、約6割のシェアを誇るという。名古屋開催の発表を受けて、5代目で会長の吉田稔さん(81)は「発注は例年も5月前後なのでまだきていないが、とりあえずはうれしく思います。ホッとしているのが正直なところです」と胸をなで下ろした。

昨年はコロナ禍で大きなダメージを受けた。大相撲ののぼり旗は縁起物のため1場所ごとに新品となり、通常は年間800から900本は製作するが、昨年は100本程度。夏場所と地方巡業の中止に加えて、通常の本場所でも受注が少なかったという。吉田さんは「1場所80本ほどは作りますが(3月の)春場所は12本ほどでした。少なからず、過去のものを再利用しているんじゃないか。相撲界だけじゃなくて、今はどこも苦しい懐事情なんだと思います」と話す。

2年ぶりの名古屋開催となる7月場所では“白鵬特需”に期待する。5場所連続休場となった横綱白鵬(36=宮城野)は、進退を懸けて7月場所に臨む意向。名古屋開催の7月場所は、通常の本場所よりも受注本数が多い傾向にある。「白鵬関ののぼりで、どのくらい発注がくるのかは楽しみです」と吉田さん。春場所では横綱鶴竜が引退。「やっぱり、新しい横綱が出てきてほしいですよね。白鵬関が仮に引退して横綱がいなくなったら(会場周辺の)見た目的にも商売的に寂しいですよ」。新たなスターの誕生にも期待した。【佐藤礼征】

2019年ドルフィンズアリーナにて、大相撲名古屋場所 友風がはたき込みで鶴竜に勝利し座布団が舞う中、足早に引き上げる白鵬(2019年7月19日撮影)
2019年ドルフィンズアリーナにて、大相撲名古屋場所 友風がはたき込みで鶴竜に勝利し座布団が舞う中、足早に引き上げる白鵬(2019年7月19日撮影)
ドルフィンズアリーナにて、子どもたちと笑顔でハイタッチする白鵬(2018年7月8日撮影)
ドルフィンズアリーナにて、子どもたちと笑顔でハイタッチする白鵬(2018年7月8日撮影)