伝統の懸賞がアナログから脱して、間もなく1年が経過する。

森永製菓が掲出する「デジタル森永賞」は昨年7月場所から始動。同賞は初、春、秋の東京場所で、ファン投票によって選出された一番に懸賞を懸ける。1951年(昭26)初場所から始まり70年の歴史があるが、コロナの波が押し寄せた昨年、姿を変えた。

従来はキャラメルなど森永製品の空箱に取組や氏名、住所を記入して投票箱に入れる投票形式。投票対象者は国技館の来場者に限られていた。同社担当者によると「デジタル-」に変わり、誰でも投票可能に。直近の初場所では2万超の票が集まったという。「日によっては菓子箱を使った投票の5倍以上の投票数になることもあります」。大関貴景勝を筆頭とした4大関が人気だ。

ウェブ投票への転換は、コロナ禍により観客数の制限がかかっている影響が大きい。「観戦に行けないお客様でも簡単に懸賞を懸けられる新しい取り組みで、国技大相撲を盛り上げたい」と意図を説明する。従来の形式では集計も手作業で行っていた。古き良きを重んじる大相撲ではあるが、ファンの目線に立ち、懸賞の形も変化している。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)