WWEがインスタグラムで92万人のフォロワーを持つ人気女子格闘家ヴァレリー・ルレダ(23=米国)と選手契約を結んだ。キューバ系米国人で米総合格闘技ベラトールを主戦場にしていたが、4月と5月にWWEパフォーマンスセンターでのトライアウトに参加。6月30日(日本時間7月1日)に正式に契約を結んだことが発表された。WWEでは登録者2350万人を誇る人気ユーチューバーでプロボクサーのローガン・ポールとも契約を結ぶなどSNSの人気者たちを次々とリングに迎えている。

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総合格闘技で4勝1敗の成績を残したルレダがWWEに新加入した。SNSのインフルエンサーであり、女優であり、モデルでもある人気ファイター。「(契約は)とてもうれしい。何よりも(WWEパフォーマンスセンターにある)オーランドにもうすぐ引っ越して本当の旅をスタートできます。それを発表できることに興奮しています」。24歳となる7月19日にパフォーマンスセンターへ入門し、本格的なトレーニングを開始する予定だ。

もともとプロレスにあこがれを抱き、WWEのシャーロット・フレアー、元UFC女子バンタム級王者でもあるロンダ・ラウジーの大きなファンだった。今年4月に開催されたWWE年間最大の祭典レッスルマニア38大会を招待された際、イベント全体のムードに感激し、WWE入りに気持ちが傾いたそうだ。「本当に興奮している。私のカルチャーを紹介し、世界を楽しませる好機です。WWEと契約した最初のキューバ系米国人になりました。それは私の運命で、今が私の時間なのです」。

19年2月の総合格闘技デビューから5試合でインスタグラムで92万人のフォロワーを獲得したのはルレダの自己プロデュース力のたまもの。ケージ(金網)での勝利後のダンスは炎上気味に目立つ。その美貌とスタイル、筋肉美を強調する水着ショットなどで、ファンを次々と増やしてきた。この人気格闘家を簡単に手放したくないベラトールのスコット・コーカー代表も「ルレダは引き続き、現役格闘家でベラトールと契約している。近い将来、彼女をケージに戻すことを楽しみにしている」と強調するほどだ。

10代後半テコンドー米国代表としてオリンピック出場を目指しながらも、母ミラグロスさんが急性骨髄性白血病となったために断念。「母が病気になった時、私たちの人生すべてが一時停止した」。母の看病、ナタリー、フランチェスカの妹2人の生活を支える役目を担った苦労人でもある。17年に母が骨髄移植によって完治したことを受け、総合格闘技への挑戦が可能となっていた。

WWEとは複数年契約を結んだ。年内にはWWE傘下のNXTでデビューし、1年以内にロウ、スマックダウンに昇格することが目標だという。「私には大きな目標がある。WWEで何ができるかは分かっている」。ルレダによるプロレスラーとしての挑戦が始まる。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆ヴァレリー・ルレダ 1998年7月19日、米フロリダ州マイアミ生まれ。フロリダ国際大卒。テコンドー道場を運営していた父フランクさん、テコンドー黒帯の母ミラグロスさんの影響でテコンドーの道へ。並行してダンスも習う。20年8月に米総合格闘技ベラトールと契約を結び、女子フライ級で活躍。愛称はマスター(ミスMMA)。家族は両親と妹2人の5人家族。168センチ、56・7キロ。

総合格闘技ベラトール参戦時のヴァレリー・ルレダ(ルレダのインスタグラムより)
総合格闘技ベラトール参戦時のヴァレリー・ルレダ(ルレダのインスタグラムより)