元世界2階級制覇王者の粟生隆寛(31=帝拳)が3階級制覇に失敗した。同級4位レイムンド・ベルトラン(メキシコ)と対戦。2回にダウンを奪われると、その後の連打で2回1分29秒でTKO負けした。ベルトランは計量で体重超過があったため、規定により王座は空位のまま。粟生の戦績は27勝(12KO)4敗1分けとなった。

 強引に攻めてくるベルトランの勢いを、粟生は止めることができなかった。2回に左を出そうとした瞬間にカウンターの右フックを顎に受け、キャンバスに崩れ落ちた。どうにか立ち上がったが、連打を浴びて棒立ちに。最後は左フックを打ち抜かれたところで試合を止められた。プロでは初のKO負けに「何をもらったか覚えていない。何かもらったのは分かった」と小さな声で話した。

 09年3月にWBCフェザー級、10年11月に同スーパーフェザー級王座を獲得。亀田興毅、井岡一翔に次ぐ日本人3人目の3階級制覇に向け、無冠戦4試合を戦いながらチャンスを待った。約2年半ぶりの世界戦。早期から減量にも着手するなど、万全の状態で臨んだが、強豪ひしめくライト級の壁は厚かった。

 今後については「今は何も考えられない状態です」と絞り出すように答えた。