中邑真輔(35)が、あと1歩で勝利を逃した。ライバル棚橋弘至(38)のハイフライフロー2連発を1度は返すも、最後の最後で力尽きた。史上最多、19大会に及ぶ長期シリーズ。開幕直後に左肘を負傷したが、1試合の不戦敗だけで戦線に復帰する意地の戦いだった。11年以来、2度目のVこそ逃したが、IWGPヘビー級王者オカダから勝利を挙げるなど、存在感を示した。

 敗れた中邑は、棚橋のもとに歩み寄り、右手を差し出した。永遠のライバルと初めて並び立ったG1決勝の舞台。拳を握るその表情には、悔しさと同時に充実感がにじみ出た。ふらふらの足で引き揚げると、荒い呼吸のまま、言葉に力を込めて言った。「燃え尽きたでしょ。リングの上で、全部、全部はき出した」。

 体は限界を超えていた。中盤、ハイフライフロー2連発を返すと、腕ひしぎ十字、三角絞めで逆襲。決勝進出を決めた得意の展開だったが、あと1歩のところで技がほどけた。開幕直後に左肘を負傷。28日の大分大会を欠場による不戦敗で落とし、開幕3戦で1勝2敗という苦しい展開だった。それでも万全とはほど遠い体調の中、気力で戦線に復帰。そこから一気の6連勝で決勝進出を果たした。

 11年以来、2度目のVこそならなかったが、IWGPヘビー級王者オカダ、同インターコンチネンタル王者後藤から勝利を挙げるなど、存在感は示した。無冠で臨む15年の下期決戦。来年1月4日の東京ドーム大会も近づく中、中邑の逆襲に注目が集まる。

 ◆中邑真輔(なかむら・しんすけ)1980年(昭55)2月24日生まれ、京都府京丹後市出身。青山学院大レスリング部から02年新日本入団。同年8月にデビュー。03年8月にG1初出場。同年12月に天山から史上最年少でIWGPヘビー級王座を奪取。11年のG1で初優勝。12年7月に後藤からIWGPインターコンチネンタル王座を奪取。188センチ、104キロ。得意技はボマイェ。