女子レスリング界のレジェンド山本美憂(42)が、リオデジャネイロ五輪での後輩たちの活躍に開拓者魂を刺激された。9月25日、RIZINさいたまスーパーアリーナ大会での総合格闘技デビュー戦へ、29日に都内のジムで練習を行った。

 山本はRENA戦について「リオ五輪を見てレスラーの強さを改めて再確認した。そこで私がやってきて、誰にも負けない自信がついてきた」と話した。カナダ国籍を取ってリオ五輪出場を目指したが市民権の獲得がエントリーに間に合わず断念した。見たくなかった五輪も、テレビの解説者として携わり、後輩たちの活躍に励まされた。

 レスリングが五輪種目ではなかった時代の先駆者として戦ってきた。今度はレスリングから総合への先駆者として汗を流している。「自分が頑張ることによって、レスリング後の人生に迷っている子たちの背中を押してあげることができれば」と言う。試合当日は金メダリストの登坂絵莉らも応援に駆けつけるという。

 この日は打撃練習の後、息子で同じ大会に出場するアーセン(19)と初めてテークダウンからの練習をした。山本は「五輪に出てたら、すっぱり引退していた。出られなかったからこそ、息子と一緒に練習できるという今の幸せがある」とうれしそうに話した。【桝田朗】