新日本プロレスが、世界最高峰のWWEに殴り込みをかける。新日本は4日の東京ドーム大会で7月1、2日の2日間、米ロサンゼルスのロングビーチコンベンションセンターでG1チャレンジ大会を開催すると発表した。4000~5000人収容の会場で、米団体との共催ではなく単独で開催する。昨年、主力選手を引き抜かれたWWEへの対抗措置と言っていい。

 木谷高明オーナー(56)は「一番の動機は、悔しいからですよ。反撃ののろしです。攻められっぱなしじゃ、悔しいじゃないですか」と米国進出の理由を説明した。昨年1月5日に、新日本の主力選手だった中邑真輔、AJスタイルズら4選手をWWEに引き抜かれた。15年の売り上げでは、WWEの約758億円に対し新日本は約32億円。経営規模は比較にならないが、オーナーとしてやられたままではいられなかった。

 木谷氏は、昨年12月にツイッターで、WWEの経営の問題点を指摘し、事実上の宣戦布告を行った。第2弾が、米国進出の実力行使だった。「まず、カリフォルニアで試合をして、ケーブルテレビに映像を売っていく。WWEの放送権料よりはるかに安いから、買ってくれるところはあると思う。状況を見ながら現地に事務所も構え、道場もつくっていきたい」と話した。

 海外進出の背景には、12年から右肩上がりの経営状況の良さがある。昨年7月期の売上高は32億円、今年7月には創設45周年で最高の40億円超えも確実視される。「こんなにうまくいくとは思わなかった。丸5年で100点満点。プロレスはグローバルなニーズがあるし、映像の出口が広いから、もっと伸びる」と木谷氏は言う。満を持しての米国進出。17年は、新日本が自ら動きだす歴史的な年になる。

 ◆WWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント) 63年設立のWWWFが前身。72年にWWFに改称。01年にライバルのWCWを買収し、02年にWWEに改称した。「ロー」「スマックダウン」と、中邑が所属する「NXT」の3番組で活動。番組は世界170カ国以上で、35以上の言語で放送される。15年は329大会(米国外では16カ国で56大会)を行い、総入場者数は約200万人。15年の売上高は日本円で約758億円。