ボクシングのトリプル世界戦(20日、東京・有明コロシアム)の前日計量が19日、都内で行われた。WBC世界ライトフライ級王者ガニガン・ロペス(35=メキシコ)に挑む同級4位拳四朗(25=BMB)は約200グラムアンダーの48・8キロでパス。ロペスと並んだ写真撮影ではファイティングポーズの王者に対し、なんと両手でピースサインを作り、笑いを誘った。

 「あれですか? Vサインじゃなく、ピースですね。何でしたんかな?」。笑顔で応じる姿には、世界初挑戦を翌日に控えた力みなどない。前日の調印式後には1人で地下鉄に乗って池袋へ。「あれです。アライグマが出てくるやつ」というSF映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」を見た。

 「地下鉄の構内に、僕の試合のポスターあったんですよ。でも『俺、ここにおんのになあ』と思ったけど、誰にも気づかれませんでした。気づかれたいですねえ」

 この日朝にはまたも1人で電車に乗って、計量後に食べるベーグルを買いに出かけた。

 「ベーグルの店の最寄り駅が『勝どき駅』なんです。びっくりしました。勝つ時でしょ? だから僕、勝つんです」。ダジャレのような、験担ぎのような…。笑いながら、ご満悦だ。

 父の寺地永会長(53)が人気漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウにちなんでつけた名前がウソのような“癒やし”のムードを漂わせて、大一番へ。「後は勝つだけです」。京都・宇治で生まれた“古都の拳”の主人公は、そう言った時だけ表情を引き締めた。