ボクシングのWBC世界フライ級タイトル戦は、比嘉大吾が挑戦する王者ファン・エルナンデス(メキシコ)が計量失格した。

 約8キロの過酷な減量から解放された比嘉は安堵(あんど)感を漂わせた。リミットの50・8キロで計量をパス。故郷・沖縄産の甘酒とココナツウオーターを飲んで心身を癒やした。200グラムオーバーのエルナンデスが2時間の猶予を与えられ、再減量のために会場から消えると、比嘉は「自分が落とせればいいかなと。自分まで水が飲めなくなるわけではないですし」と意に介さず。ステーキ店に直行し、英気を養った。

 約30分後、比嘉に代わり師匠・具志堅会長が、王者の減量断念を見届けた。これで比嘉が勝利で新王者、引き分けか負けで空位になることが決まった。同会長は体重差を懸念し、非公式計量を要請すると、王者の体重が増加。「スーパーフライ(52・1キロ)ぐらいあった」と不快感を示した。

 王者が減量を苦しまずに体力回復できるため、比嘉にはハンディが大きい。「王者はリミットでクリアしないとね」と厳しく指摘した具志堅会長は「1回からいく。12回はいらない」と日本人初の全勝全KOでの世界王座奪取を狙わせる決意。比嘉は「勝たないと王者はないので。久しぶりの沖縄の世界王者になりたい」と、25年ぶり7人目の沖縄出身世界王者になるイメージを膨らませた。【藤中栄二】