WBO世界ライトフライ級王者田中恒成(21=畑中)は、16戦全KO勝ちだった同級1位アンヘル・アコスタ(26=プエルトリコ)に判定3-0で快勝。試合後はテレビ解説を務めたWBA王者田口良一(30=ワタナベ)に対し、統一戦を「公開オファー」した。

 スイッチが入った田中はやっぱり強かった。「1、2回と取られて3ラウンド目を待つ必要はない」と、アコスタが嫌がるボディー攻撃にシフトチェンジ。5回に右アッパーでバランスを崩し、上からたたきつけるような右の強打でダウンを奪う。最後まで激しく打ち合い、実力者に快勝だ。「本当に一番強かった。めちゃくちゃつらかった。(倒して)うれしかったかもしれない」とかみしめた。

 試合後も盛り上げた。リングサイドでテレビ解説を務めたWBA王者に「田口選手、よかったらリング上にお願いします」と呼びかけた。そして「今年中にやりましょう」と公開オファー。「次勝って、ぜひ田中くんとやりたいと思います」という言葉を引き出すと、すかさず「畑中会長を説得します」。畑中会長が「OK!」と即答すると、再び田口に向かって「渡辺会長への説得はお任せします」とペコリ。「会長にちゃんと言っておきます」と約束させた。

 ターゲットはほかにもいる。「田口選手には申し訳ないですけど、八重樫選手ともしたいので。明日行ってきます」。今日21日はIBF同級王者八重樫の3度目防衛戦を偵察する。

 畑中会長は「統一戦をやりたいとは去年から言っている。あとは交渉ごと」と、今月中に正式オファーを出す見込み。今年中にあと2戦予定していたが、実現可能なら統一戦に絞ることも考える。「やりたい試合は田口選手と八重樫選手だけ。ライトフライ級は年内で卒業予定です」と田中。日本人対決で「最強」を証明し、そして3階級制覇へ。夢の実現に向け、動きだす。【宮崎えり子】

 ◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年(平7)6月15日、岐阜・多治見市生まれ。市之倉小6年で本格的にボクシングを始める。中京高(現中京学院大中京)ではライトフライ級で国体2連覇など4冠。13年11月プロデビュー。14年10月に4戦目で東洋太平洋ミニマム級王座獲得。15年5月に5戦目でWBO同級王座に就き、日本人最速で世界王者となった。昨年12月には同最速タイの8戦目で2階級制覇。中京大経済学部在学中。164センチの右ボクサーファイター。

 ◆日本人同士の統一戦 12年6月にWBC世界ミニマム級王者井岡一翔(井岡)とWBA同級王者八重樫東(大橋)がグローブを交えた一戦だけ。12回判定で井岡が王座を統一した。日本人同士以外では14年8月にIBF世界ミニマム級王者高山勝成(仲里)がWBO同級王者ロドリゲス(メキシコ)に敗れた例などがある。