国内復帰第2戦に臨んだ元WBO世界バンタム級王者亀田和毅(25=協栄)。世界戦経験を持つイバン・モラレス(メキシコ)に3-0の判定で完勝した。ジャッジ2人が100-90のフルマーク、1人が99-91をつける完勝だった。

 「亀田トレイン」で観客席から姿を現すと、忍者のコスチュームで登場。「中に潜り込む素早さ、スピードをイメージした」という黒ずきん姿でリングインすると、試合でも速さを際立たせた。初回から小気味よい回転の連打を打ち込み、中間距離からも右ストレートを飛ばした。終始モラレスに圧力をかけながら、距離を縮めた。

 試合に向けて兄の興毅トレーナーが課題としたのは、10センチを踏み込む覚悟。技巧派として世界王者にまで駆け上がったが、ファンを魅了するスタイルへの進化の必要性を感じていた。打つか打たれるか、その距離感を掌握してこそ、評価を得られる。その兄いわく、「今日は前の試合より2、3センチ踏み込めた。だからエキサイトした試合になった」。弟本人も「前回よりは1歩ぐらい踏み込めた。ちょっとは進化したかな」と納得の表情で振り返った。

 今後の課題はいかに倒すかだろう。パンチの速さはあるが、モラレスは「パワーがなかった」。上下の打ち分けなどにも改善の余地はある。KO負けがない相手のタフさは考慮しても、スピードでは圧倒していただけに、そこからKOにどうつなげるかが問われる。「まだ忍者になれていない」とは本人の弁。世界再挑戦に向けて、さらなる「1歩」が求められる。