新日本プロレスのシングルマッチのリーグ戦「G1クライマックス27」が17日の札幌大会で開幕する。注目選手などを「真夏の最強決定戦」と題し、3回連載する。20人が出場する今大会の目玉は2年ぶり出場の飯伏幸太(35)。15年に大ブレークした“ゴールデンスター”の復活なるか。

 飯伏が新日本に帰ってくる。15年1月4日、IWGPインターコンチネンタル王者中邑との大激闘。同3月のニュージャパンカップ優勝からIWGPヘビー級王座挑戦、G1クライマックス初出場。一気に輝きを増し、これからというときに突然、退団した。16年2月のことだった。

 あのときから止まったままの時計がG1開幕の17日に動きだす。「G1に出ようというより、新日本から声がかかったタイミングが、この2年間の結果を出すとき」。新日本を離れ、プロレス研究所を立ち上げた。1人で出場交渉をし、米国のインディーからWWEまで戦いの場を広げた。

 「団体に所属していては絶対にできない経験をした。米国では自分をプロレスでどう表現するかも考えた」。人見知りでおとなしい男が、2年間で自分の中に自信を見つけた。プロレスでは天才肌の男が、精神的にもたくましさを増した。

 2年前、初出場のG1は4勝5敗。AJスタイルズら強豪も破った。しかし、残ったのは無念さ。「最初から全力でいって途中から大失速。最後まで体が持たなかった」と振り返る。

 飯伏不在の2年間に盟友オメガが、トップスターへ駆け上がった。「今まで追いかけられている感じが、追う立場になった。それが、自分の自信を喪失させている」と笑う。失われた時間を取り戻すための舞台がG1だ。「出るからには優勝以外にありえない。今の新日本に自分が受け入れられるか、G1で決まる」。天才が再び輝くか。【桝田朗】

 ◆飯伏幸太(いぶし・こうた)1982年(昭57)5月21日生まれ、鹿児島県姶良市出身。04年7月、DDTでデビュー。11年6月に新日本のIWGPジュニアヘビー級王座獲得。13年10月にDDTと新日本とのダブル所属契約を発表。15年3月のニュージャパンカップで初優勝。16年2月にDDT、新日本からの退団を発表し、同3月に飯伏プロレス研究所設立。181センチ、90キロ。得意技はフェニックス・スプラッシュ。