新日本プロレスの永田裕志(49)に最後の夏が来る。17日開幕のG1クライマックス27が、永田の最後のG1だ。19年連続19度目の出場。これまで最多記録を更新してきたが、「20」の大台を前に決断した。

 「4月ごろから考えてきた。もうオレは必要ないのかなと。自分自身の欲として20回までは出たいし、19回はきりが悪い。だけど、G1の舞台でなくてもファンは自分の力を知っているし、十分に示してきた。そういうふうに考えられるようになった」

 武藤、蝶野、橋本の「闘魂三銃士」に続く「第3世代」の旗手として99年にG1初出場。01年には武藤を破りG1初制覇を達成した。上の世代に食らいつき、棚橋、中邑ら下の世代には壁となった。新日本の全盛期も衰退期もG1の戦いだけは特別だった。「G1は侵されることのない聖域。G1の戦いだけはウソをつかない。そんな戦いをファンに見せてきた」と言う。

 そんな永田がG1を退く決意をした背景には、自ら育成してきた若手の存在がある。現在、前座で修行中の岡、北村らアマチュアレスリング出身者たちだ。「こいつらをいきなりG1に出すには人数が多すぎる。でもG1に出れば、若い選手はいろんな景色を見ることができる」。そのために、あえて一線を引き、来年からの出場枠を空ける。

 「最後に永田の強さをG1で見せるチャンス。完全燃焼しますよ」と、静かに闘志を燃やしている。【桝田朗】

 ◆永田裕志(ながた・ゆうじ)1968年(昭43)4月24日、千葉・東金市生まれ。92年にレスリング全日本選手権で優勝後に日体大から新日本入団。同年9月にデビュー。01年にG1初制覇、02年4月にIWGPヘビー級王座を奪取し、同王座の10度防衛は棚橋の11度に次ぐ記録。14年2月にはノアのGHCヘビー級王座獲得。183センチ、108キロ。