ボクシングで日本記録阻止を狙うWBC世界バンタム級1位ルイス・ネリ(22=メキシコ)が、10日に都内の帝拳ジムで強打をアピールした。

 15日に島津アリーナ京都で、同級王者山中慎介(34=帝拳)が具志堅と並ぶ13度目の防衛戦で世界初挑戦する。試合を5日後に控え、外国人選手では珍しくスパーリングを2回披露した。

 パートナーは山中ともスパー経験のあるスーパーバンタム級の舟山大樹(23)が務めた。最初は軽いジャブでマスボクシングのようだったが、山中につく大和トレーナーは「行け」と指示。舟山が本気で打ち込むと、ネリも本気で打ち返してきた。持ち味である回転力ある連打に、左ストレートも繰り出してきた。2回の終盤にはネリ陣営が「手を抜け」と逆に指示したほどだった。

 ネリはスパー後もミットやサンドバッグ打ちで約1時間きっちり練習した。初の世界戦で初の海外に備え、出発直前まで2カ月高地での走り込みで備えてきた。23戦全勝(17KO)で、山中の防衛戦相手では最年少となる。「1回からプレスをかけて攻めていく。6回KOで勝つ。その前に終わる可能性もある。記録をストップする」と豪語した。ニックネームはスピードある攻撃からパンテラ(ヒョウ)。山中は「神の左」と言われるが「オレはヒョウの左」とうそぶいた。

 舟山は強打者ぶりを認めた。「左で一瞬クラッときた。ボディーもいい一発をもらった。ジャブも強いし、気づいたら次が来る感じで連打がいい」。偵察した大和トレーナーも「最強の相手には違いない。中間距離は向こうが上で、フック、アッパーの回転力がいい」。高評価は変わらなかったが「すべては想定通り。山中が斬り捨てます」とニヤリ。挑戦者を実地に再確認し、V13を確信していた。