男子柔道66キロ級で04年のアテネ五輪、08年北京五輪と2連覇を達成し、準強姦(ごうかん)罪で5年の実刑となった内柴正人(39)がプロレスのリングに上がった。

 30日、新木場1st Ringで開催されたプロレス興行ハードヒットに来場。大会をプロデュースする佐藤光留(37)からの公開オファーはなかったが、リング上でマイクを握りファンにあいさつした。

 内柴は、刑期を終えて9月中旬に出所。11月26日に、柔術のアマチュア大会に出場し2階級で優勝。さらに24日にもアマチュア大会で優勝していた。今回は、同じジムで練習する佐藤の求めに応じて来場。佐藤が、大会出場の公開オファーを出すと宣言していたが、セミファイナルの試合で負けたため、オファーを断念。それでも、リングであいさつした佐藤に促され、内柴も笑顔でリングに登場。佐藤から「このリングで戦いたい」と希望を告げられると「やる気はありません。ただ、性格上、今やっても本当はいいんです。でも、ボクは今柔術をやっていて、アラバンカというところで修行していて、一緒に練習するようになったんで、お互いに頑張って、ボクも少しでも長く戦えるよう頑張りますんで、ともに頑張りましょう」と返した。

 大会後、内柴は初めて上がったプロレスのリングについて「プロレスのリングは柔らかくていい感触だった。プロレスの雰囲気を味わえて楽しかった。選手とお客さんが一体になっているところがとても良かった」と感想を話した。佐藤の対戦要求については「言ってもらえるのはありがたいが、ボクは今、柔術で忙しい。来年は、月に1度のペースで試合が入る予定だし、柔術に集中することしか考えられない。もし、佐藤選手が、柔術でボクに勝てば、勝負してもいいかな。でも、絶対負けないけどね」とジョーク交じりに拒否した。

 内柴は、今後について「最終的には柔道に帰る。少しでも柔道の道場がボクを受け入れてくれる可能性があれば。できれば、国士舘がボクを受け入れてくれたら」と希望を語った。「国士舘関係の柔道の高校は現状では受け入れるのは厳しいと言われている」という。それでも、高校、中学でサポートをするところがあり、内柴はそれらの高校や中学の道場で練習を始めているという。

 一方、大会をプロデュースした佐藤は「今日はいい大会になった。こんなに人が入ったことなかった。内柴さんの効果もあった」と興行の成功に顔をほころばせた。内柴へのオファーについては「ボクが内柴さんを呼んだんじゃなく、プロレスが内柴さんを呼んだ。リング上で柔道の金メダリストとやってみたい、それ以上の感情はありません。これからも試合してもらうまでは続けたい。ボクは変態ストーカーレスラーと呼ばれているんで」と笑顔で話していた。