警官プロボクサーが誕生した。警視庁第3機動隊員の杉田大祐(29=ワタナベ)が、13日に東京・後楽園ホールで公開でのB級(6回戦)プロテストを受験。観客の前でスパーリング3回とシャドー1回を披露し、セミファイナル前に異例の合格発表となった。

 スパーのパートナーは同門の木村が務めた。タイトル挑戦経験もある変則タイプ。杉田は「クネクネしてやりにくかった。正統派とやりたかった。不完全燃焼」と悔やんだ。それでも石原トレーナーが「日本ランカーの力ある」という169センチの右ボクサーファイターで、アマで141戦の実力は示した。渡辺会長からも「よかった」の声が掛けられた。

 東農大では前世界王者井岡一翔と同期だった。後楽園ホールのリングはリーグ戦で5戦5勝していた。「7年ぶりで雰囲気を楽しめた。12歳でボクシングを始めて18年やってきて、念願のプロになれた」と笑みがはじけた。昨年都大会で110番に通じるアマ110勝を挙げてプロ転向を決意した。トランクスにも「110」と3歳の長男の名前「勇気」の文字を入れた。

 上司も含めて約50人が応援に来た。大みそかも渋谷で雑踏警備、前日も朝5時から勤務があり、異動の可能性もある。ジムワークは週3、4回で時間も不定期。仕事との両立は厳しい環境にも「内山さんのように強いだけでなく、しっかりした人間になりたい。才能はないがコツコツやるタイプ。強いだけでなく自分を磨きたい」。3月か4月にプロデビュー戦を予定している。