ボクシングのWBC世界バンタム級タイトルマッチの前日計量が28日に都内で行われ、同級王者ルイス・ネリ(23=メキシコ)が体重超過で王座剥奪となった。

 リミットは53・5キロ。まずは挑戦者の前王者山中慎介(35=帝拳)は53・3キロの200グラムアンダーで一発パスした。ネリは必死に伸び上がって計量台に乗ったが、55・8キロと2・3キロもオーバーだった。

 2時間の猶予を与えられ、約1時間45分後に再計量も54・8キロ。1キロ落としてきたが、まだ1・3キロオーバーのまま。この時点で王座は空位となり、3月1日の両国国技館でのタイトル戦は実施されるが、山中が勝った場合は王座獲得、負けた場合は空位のままとなる。ネリは1日正午に58キロをリミットに当日計量を課せられた。

 ネリは再計量を終えるとグイグイと水分をとった後は、しばらくぐったりと机に突っ伏した。この約2時間の間に縄跳びなどで汗をかいたという。陣営は今回初めて栄養士を採用して、食事や体重の管理を任せ、日本にも同行させてきた。朝8時に起きた時は3キロオーバーで、計量までもランニングなどで減量した。

 マルコ・アントニオ・ペレス氏(56)は「水断ちでダメージを与えない減量。経験から3キロなら落ちると思った。今回はネリの体が応えず、経験が生きなかった。私の責任。山中さんには申し訳ない」と話した。

 山中は計量時には「ふざけるな」と吐き捨てるように言うと、悔し涙を流し、手で口を押さえながら控室へ戻った。それから落ち着いたところで食事に向かった。ネリの再計量後、電話での代表取材に応じ「信じられない。体を作ってほしかった。悔しかった。試合に気持ちを整えていく」とコメントした。

 昨年8月に4回TKO負けを喫し、日本タイ記録の13度目の防衛を阻止された。試合後にはドーピングで陽性の騒動も起きたが、ネリに雪辱だけを考えて現役を続行してきた。そして迎えた世界戦だったが、またもネリの失態に振り回されてしまった。