ボクシングの元WBC世界バンタム級王者山中慎介(35=帝拳)の引退試合に禍根を残した前王者ルイス・ネリ(メキシコ)のファイトマネーが一部凍結されることになった。2日に帝拳ジムの本田明彦会長(70)が、「WBCから、すでに払った30%分の残りの70%の支払いを待つように連絡があった」と明かした。

 ネリは同級タイトルマッチの前日計量で大幅な体重超過を犯し、はかりの上で王座を剥奪されていた。減量苦の有無による山中と体調面の差も大きく、1日の試合は2回TKO勝ちしたが、王座は空位となり、失態に批判が集中していた。WBCは計量失格のペナルティーを今後決定し、資格停止の処分を下す見込み。ファイトマネーの処分も含まれる可能性があり、凍結はそれまでの措置となる。国内の世界戦では、対戦相手が失格しても満額は支払われるケースが主だった。

 日本歴代2位の世界戦12連続防衛を果たし、「神の左」の愛称でも親しまれた山中。そのラストファイトに影を落としたネリ。この日、国内の統括機関であるJBC(日本ボクシングコミッション)には、意見や抗議の電話が殺到した。「しっかりWBCに意見してほしい」「なぜ試合を行ったのか」など、夕方までに50件以上が寄せられた。【阿部健吾】