武藤敬司(55)が、プロレス人生最後のムーンサルトプレスを放った。セミファイナルの8人タッグマッチ。浜亮太、SUSHI、宮本和志と組んだ武藤は、教え子の河野真幸、大和ヒロシ、中之上靖文(大日本)KAI組と対戦。中之上にフラッシングエルボーを決め、KAIにはドラゴンスクリューから足四の字固めを披露。終盤、河野を捕まえムーンサルトプレスにいこうとするが、邪魔が入りなかなか決まらない。大技前のバックブリーカーでは、足がもつれ崩れ落ちる場面も。それでも、最後はシャイニングウィザード3連発で河野の動きを止め、コーナーによじ登り、ムーンサルトを決めた。満員の会場も大歓声に包まれた。

 武藤は先月19日に、変形性ヒザ関節症の両ヒザに人工関節を入れる手術を行うことを発表。その際に「プロレスに復帰しても、ムーンサルトプレスは医者からやってはいけないと言われた。3月14日が最後のムーンサルトプレス」と宣言していた。1985年、デビュー1年の新人時代に繰り出し33年間、武藤の代名詞と言われた大技は、この日を最後に封印された。

 武藤は「正直、なかなか苦しい戦いだった。バックブリーカーでは自分の足がもつれて崩れてしまうし、かろうじて最後のムーンサルトができた。昔と比べて跳躍力はないが、気持ちがこもったムーンサルトだった。武藤敬司、悔いなしです」と晴れ晴れとした表情で話した。長年、慣れ親しんだ技との別れには「この技なくして、オレははい上がれなかった。若くて、大きい体でムーンサルトができるということで、海外に出してもらった。海外でも、この技でトップになることができた。水戸黄門で言えば、助さん、格さんの格さんを失ったようなものだけど、また新しいものを考えていきたい。オレもまだまだ頑張っていきたい。今日、もらった元気を必ずプロレスで返します」と復活を誓った。