ボクシングWBO世界フライ級王者木村翔(29=青木)が24日、日本人初となる中国での防衛を目指して現地へ出発した。27日に中国・青島で同級4位フローイラン・サルダール(29=フィリピン)とのV2戦に臨む。

 世界中が殺人的猛暑にも、何事にも前向きな木村にはうれしい出来事だった。前日には出身地の埼玉・熊谷で国内観測史上最高の41・1度を記録した。「ある意味うれしい。ボクも日本人初の中国で防衛し、歴史をつくりたい」と宣言した。

 1年前には中国上海で下馬評を覆し、海外での王座奪取に成功した。出発時に報道陣は1人もいなかった。「昨年とは全然違ってこんな取材を受けるなんて。1年でだいぶ変わった」。しみじみと話す一方で、初防衛も果たして自信も増した。「体調はいい。ベストを尽くして結果を出して帰ってくる」と話した。

 中国の英雄、鄒市明を破ったことで、日本以上に中国で人気がある。相手も外国人だけに、木村にはホームとも言える。「中国の応援は熱い。気持ちが伝わる試合で、応援してもらえれば心強い」。日本から駆けつける応援団は10人程度も、現地の後押しにも期待する。

 今回で5度目の中国行きだが、青島は初めてとなる。ホテルや食事などの状況が分からないため、念のためにバッグには米やうどんを詰め込んだ。世界戦発表は1週間前だったが、準備に抜かりはない。相手の弟ビックは13日に日本で世界王座を奪取と勢いに乗っている。木村は「最後は気持ちの勝負。ボクらしく前に出て勝負する」と決戦の地に向かった。